第271話 ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー その4 不死身のスタースクリーム編

 ビーストウォーズ語りも4回目、今回で締めたいと思います。サブタイトルは、一番強烈なゲストキャラが登場した第21話のサブタイをいただきました。


 はい、サブタイどおり、スタースクリームが登場する回なんですね。初代『トランスフォーマー』のデストロン航空参謀にしてニューリーダー(笑)のスタースクリームご本人です。


 その悪名(笑)は本作登場のトランスフォーマーたちにも轟いているようで、特に初代『トランスフォーマー』の頃のスタースクリームの事績を知っている者も何名かいたので全然信用されていませんでした(笑)。


 声優はオリジナルキャストの鈴置洋孝ではなくて、ジュドー・アーシタや藤原忍で有名な矢尾一樹に変わっていましたが、特に違和感はありませんでしたね。


 こいつは『2010』でも幽霊として出てきていたのですが、今回も幽霊として登場しワスピータに取り憑きます。こいつ、どうやらトランスフォーマーの魂にあたる「スパーク」が不死身という特性があるという設定が本作で追加されたようです。まあ、結局は追い出されて元の黙阿弥になって、またどこかへ行ってしまうんですけど(笑)。


 なお、本作の舞台である未開惑星の名前は「エネルゴア」というのですが、これについては続編『メタルス』で驚愕の事実が明かされます。それについては『メタルス』の所で語りたいと思います。


 さて、本作の主題歌「WAR WAR! STOP IT」はラップ系の主題歌になります。トランスフォーマーシリーズでは『2010』のエンディングがラップ系だったのですが、オープニングになったのは初めてですね。以前に『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』のときに「ラップはオープニングに合わない」と書いたことがあるのですが、この歌については作風と噛み合っていて非常に合っていました。


 最後に本作の総評をして締めたいと思います。本作は、実はストーリー的には完結していません。原語版では続編『メタルス』も一続きの作品の扱いなんですね。ですので、本来は『メタルス』と合わせて評価すべきかなと思います。ただ、日本語版は『ビーストウォーズ』が終わって日本オリジナルのセルアニメ『ビーストウォーズⅡ』が始まるという展開なので、ここで一度完全に切れているという。ですので、本作だけで一度評価したいと思います。


 最初に書いたとおり、「トランスフォーマー」シリーズをリブートしたという意味では、非常に意味がある作品です。最初期のフルCGアニメという点でも歴史的意義があります。


 ただ、作品として見た場合の価値でいうと、やはり本作の最大の特徴は「声優のアドリブによる強烈なギャグ」になってしまうんですね。元の翻訳脚本もギャグに寄せてはいるのですが、それを声優が更にアドリブで誇張し、それを受けて翻訳脚本もさらにギャグに寄っていくという。


 このアドリブを許容した懐の深さは、日本語版監督の岩浪美和によるものですが、本作を成功させた最大の要因かと思います。


 今回Wikiを読んで、大元の海外版だと初代『トランスフォーマー』との関係性があったり、第三勢力であるエイリアンについての言及もあったりという複雑なストーリーだったというのが書いてあったんですよ。ところが、本作をリアルタイム視聴していたときの記憶では、そういった要素はほとんどオミットされていたという。


 このあたりは、日本語版制作時に意図的に削られたもののようです。子供向けにわかりやすく面白くするための変更だったのでしょう。


 実際、リアルタイム視聴時には、ストーリー性は全然気にせずに毎回のギャグを頭空っぽにして楽しんで見ていました。


 この改編は、マニアックな初代『トランスフォーマー』のファンやマニアには受けが悪かったとWikiに書いてありました。しかし、そんなのはユーザーとしてはごく一部でしょう。リアルタイム当時の子供たちに受けることの方が、子供向けの巨大ロボットアニメとしては、もっと重要だったはずです。実際、ロボの玩具は売れたわけですし。


 また、初代『トランスフォーマー』のファンであった私から見ても、本作の持つ「ゆるさ」と「いい加減さ」は、むしろ初代『トランスフォーマー』のアメリカンな「いい加減さ」「ゆるさ」を思い出させるものでした。


 その点から考えても、本作は正しく「トランスフォーマー」シリーズの後継者であったと言えるのではないかと思います。


 ということで、私は本作は大成功作で名作だと思っています。


 ただ、このアドリブ大暴走ぶりは一般的には「迷作」「怪作」扱いになるんじゃないかなとも思ったりはするんですよねえ(笑)。


 ですので、最初にも書いたのですが、総評的には「大怪作」というところに落ち着いてしまうという(笑)。


 さて、これで97年の作品は終わって、次は98年に入りたいと思うのですが、もう巨大ロボ作品で見ているものが少ないのです。なので、次は本作の後番組『ビーストウォーズⅡ』になります……が、これ一話切りしちゃったんだよなあ。どうしよう?(爆)

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