第84話 超力ロボ ガラット その2 悪がはびこりゃガラット参上!編

 ということで、ガラット語り2回目です。ロボ語り編なのでサブタイは何も考えずに第1話サブタイからいただきました。


 主人公マイケルが乗るのがジャンブー・ガラット。紺と赤、白が主体の、由緒正しき巨大ロボカラーです。もっとも、サイズは身長十メートル弱と、スーパー系巨大ロボとしては小柄な方です。胸には赤色でガラットのGマークが輝いています。この頃になると珍しい、実にスーパーロボット然とした姿が素敵なのです。


 武器は同じものが三段階に変形します。ビームサーベルの「ガラットディバイダー」、その柄が伸びて槍になる「ガラットジャベリン」、そして柄の一部が折れてグリップになる熱線銃の「ガラットブラスター」です。


 こいつをはじめとする三機のガラットは、いずれも人間より小さなサイズ(人間の半分くらいの身長)で丸っこくて二頭身の可愛らしい……というかギャグタッチのデザインのロボが巨大化して変形するものです。まず、巨大化の際に、丸っこかった手足が角張ります。この巨大化した形態を「クルット」と呼びます。その上で、逆立ちすることで、腕だった部分が脚に、脚だった部分が腕になって、小ぶりの頭が出てきて二頭身のギャグタッチの外見から、八頭身のシリアスロボである「ガラット」に変形するのです。


 デザイナーの大河原邦男は、既にイッパツマンの逆転王や三冠王で、タイムボカン風のギャグメカからシリアスロボへの変形はデザインしていました。ただ、あちらが結構大きなガワが残るのに対して、こちらは余剰パーツ無しの完全変形です。


 この変形、当時発売された玩具で、ほぼ再現されていました。ジャンブーの場合は、唯一クルット形態のときに足になっていた部分が、ガラットだと腕の側面に移動するはずなのに、それができなくて腕の後ろに付いているということがアニメと違うくらいです。プロポーションも非常に良く、アニメの雰囲気をよく再現していました。さすがに武器は変形せずに三形態の武器が別々に付いていましたが。


 そうです、これは買っていたんです……弟が(笑)。さすがにジャンブーだけで、パティの乗るパティーグ、カミルの乗るカミーグは持っていませんでした。


 ただ、こいつらはプラモも出ていて、そっちは三機とも買いました。しかも、ちゃんとプラカラー塗料で指定色どおりに色を塗った記憶があります。プラモの方も、差し替え変形ですが、きちんとクルット形態からガラットに変形していたはずです。


 このジャンブーに限らず、三機のロボは全機、人間大のときとクルット形態では自分の意志を持っています。人間大のときは勝手に動き、クルット形態では一応マイケルたちが操縦しています。しかし、ガラットになるとロボの意志は封印され、その間の記憶もなくなります。


 途中の話で「自分たちもカッコ良いガラットになっている時の記憶が欲しい」とジャンブーたちが言い出して改造しようという話があります。ところが、そうやって改造すると今までの記憶は全部無くなってしまうというのを聞いたジャンブーたちは、「マイケルたちとの思い出を無くすのは嫌だ」と言って改造をやめることにするのです。基本はギャグアニメなんですが、これは泣かせ系のちょっといい話でした。


 そのジャンブーですが、人間大のときはマイケルの通学ロボとして使われており、非常に生真面目な性格です。なお、既に通学ロボを使うのは時代遅れになっており、ほかのクラスメイトは全員高速走行できるガウォーク型の脚メカに乗って通学しています。ジャンブーもローラーダッシュで高速移動できるんですが、普段は法定速度を遵守してゆっくり歩いています。ちなみに、このローラーダッシュ時の車輪は足の裏から出るのですが、玩具にもプラモにもローラーダッシュ機能どころか車輪も付いていません(笑)。


 それなのに「気張りポーズ、み・な・ぎ・る~!」の掛け声と共に巨大化してジャンブー・クルットになると、とたんに好戦的でイケイケの性格になります(笑)。ちなみに声優は大ベテランの緒方「アナライザー」賢一です。彼に限らず、この当時既に重鎮だった声優が結構出演してるんですね。キャラ紹介編で書きますがマイケルが素人、パティがド新人だったので脇をベテランで固めていたんでしょうか。


 ただ、クルットに巨大化しても全然強くないという(笑)。一応剣は持ってますが、それこそボスボロット並みの戦闘力しかありません。それで敵ロボにボコボコにやられて「博士、話が違うじゃない!」とマイケルが叫んだところで、キウイ博士がおもむろに「ガラット変身するのじゃ!」と叫ぶという。なお、このとき一瞬だけキウイ博士もシリアス顔になります(笑)。


 そこで、おもむろにガラットに変形するんですね。このときマイケルも自動的にパイロットスーツに着替えます。コクピット自体は変形に合わせて百八十度回転して常に上を向いているのですが、パイロットスーツを一瞬で着替えるのはどんな原理だ?(笑)


 そして、ガラット時の戦闘では、意外にもリアルロボ風の戦い方をします。いかにも「●●切り」系の必殺技を持ってそうな外見をしてるんですが、無いんですよ。変形バンクの方は毎回派手に使ってるんですが、必殺技バンクが無いんです。このあたり、スーパー系に振るんだったら少し中途半端だなあと思ったおぼえがあります。もっとも、それでもメチャクチャ強くて、ガンダムがザクにやってるようなリアル系無双をするんですね。


 ただ、前にも書いたように、リアルロボ系のお約束パロってるフシはあるんですよね。敵が量産型だったりとか。


 そう、「も」なんです。メインはスーパー系のパロディなんですね。マイケルの名乗り口上からして「悪ある所どこへでも」ですから(笑)。ちなみに、パティは「どこへでも出前」、カミルは「どこへでも出番」と、それぞれ名乗り口上のフレーズは少しずつ違います。


 膨張超合金による巨大化とか、マッドサイエンティスト系の博士とか、この時代だともう真面目にやったら受け入れられないようなスーパー系の設定を、ギャグに振ることで実現してるんですよ。


 そう、ガンダムに始まって、ダグラム、マクロス、ボトムズを経てしまった時代においては、スーパーロボを描こうとしたらギャグにするしかなかったんですよ。いや、まだ同じ年にレザリオンやビスマルクといった従来型のスーパーロボも残ってはいましたけどね。ただ、見る気にはならなかった。ゴッドマジンガーもスーパーロボを真面目に描こうとしてファンタジーに振ってるわけですよ。リアルロボ全盛の時代にスーパーロボは肩身が狭かったんです。


 ただ、翌年以降になると、「リアルロボが売れない」という現実の前に、また潮目は少し変わってくるのですが。


 さて、時間が来たので今回はこのあたりにしておきましょう。ジャンブーだけで終わってしまったので、次回は語り残した二体のロボについて語りましょう。キャラ語り編まで行けるかなあ。

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