第6話 グレートマジンガー(1974-75年)

 お待たせしました、いよいよグレートマジンガーの出番です。


 ……といっても、正直記憶が無い(笑)。再放送もマジンガーZほど優遇されていないので、劇場版の再放送しか覚えてないんですよ。あとは、やはり復刻コミカライズ版(こちらは原作というよりはコミカライズというべきでしょう)の記憶と、スパロボシリーズでの活躍がメインですね。あと、絵本も持っていました。


 なので、ストーリーラインの方は、正直そんなに語る部分が無いという。ただ、ロボとして考えると、デザイン面で非常に優れていると私は思います。


 これ、前作ロボの正常進化機として、非常にカッコ良くて、説得力があるデザインをしてるんですよ。全体的に鋭角的に、攻撃的になって、フォルムも逆三角のマッシブさが増している。この進化はゲッターロボからゲッターロボGへの進化と共通しています。


 ただ、ゲッターロボGがコンセプトこそ同じであるものの別ロボに近いくらいデザインが変わっているのに対して、グレートは明確にZと同じデザインラインに立っていることが分かるのです。別のロボに例えるなら、ザクに対してグフが強化新型であるように。あるいは特撮ヒーローでいうと、宇宙刑事ギャバンからシャリバンに進化したように。これに対して、ゲッターロボGの進化は、宇宙戦艦ヤマトの地球防衛軍の艦船が沖田艦からアンドロメダに進化したくらいのデザインラインの変更があります。


 また、武装面でのパワーアップも非常に重要です。ロボットアニメにおいて、固定的なフィニッシュホールドになる、いわゆる必殺武器はグレートのサンダーブレークが最初だと私は思っています。Wikiを見ると実際のフィニッシュはブレストバーンの方が多いということなのですが、私の印象ではとにかくサンダーブレークでトドメをさしてる感があります。


 Zは多彩な武器を持っていましたが、それゆえに「これ」というフィニッシュのイメージが薄い。ゲッター1にはゲッタービームがありましたが、決め技という感じではない。このあたり、スパロボだとZがブレストファイヤーで、ゲッター1はゲッタービームがフィニッシュという感じなんですが、何でだか印象としては、こいつらは「必殺」感が低いんですよ。


 なので、問答無用、こいつが出れば終わり、の必殺武器としてはサンダーブレークが最初という印象があります。実は特撮の『スーパーロボット レッドバロン』においては必殺武器のエレクトリッガー(サンダーブレークと同じ電撃系)がグレートよりも先に装備されてたりするんですが、アニメではこれが初かと思います。


 あと、初の「剣」を持ったロボットでもあります。実の所、「剣」をフィニッシュ武器にするのはボルテスVが初で、そこから「必殺武器といえば剣」の時代が来たりするのですが、その先駆として剣を装備したのはグレートのマジンガーブレードが初なのです。この段階では、単なる武装のひとつにすぎず、特に必殺感は無いのですが、スーパーロボットの進化の過程においては、非常に重要なポイントになっていると私は思います。


 ところが、このZには無かった追加装備が仇になったりするのも面白いところでして。後世のアニメ雑誌でグレートについて書かれていた評に「マジンガーZの欠点をすべて改修して作られたという割にはしょーもない欠点が多すぎる」というものがあります。


 ただ、この「しょーもない欠点」というのが、実は「Zには無い装備」が原因なんですね。機械が原因の事故は新機能の部分で起きるという事故のテーゼに一致します。


 設定的にグレートの最大の弱点とされるのは、スクランブルダッシュの基部を攻撃されると数秒間動けなくなるというものです。これは、もちろん飛行機能を外付けのスクランダーから内蔵式のスクランブルダッシュに変更したから――というか、単体では飛べないというZの弱点を改修したから新しくできてしまった弱点なわけです。なお、この弱点は設定的にはTVアニメ本編の時代からあったそうですが、実際に使われたのは劇場版の『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』だけだそうです。


 そして、グレートブーメランを投げてしまうと、サンダーブレークと並ぶ威力を持つブレストバーンが使えなくなる。これも、胸の放熱板を武器にするというZには無かった新機能を追加したからです。ただし、前記の『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』ではZも放熱板を投げるシーンがありますが、このシーンは自白装置にかけられた兜甲児の記憶のシーンなので、本編とは描写が異なっているとのことです。


 何より問題なのは、アトミックパンチやドリルプレッシャーパンチなどで腕を両方発射してしまったあと、その腕が戻るまでは、手を使う武器が一切使えなくなってしまうことです。グレートブーメランは投げられない、マジンガーブレードも使えない、最強必殺武器のサンダーブレークも、指先から誘導するので使えないという。ただし、サンダーブレークはビューナスAの指先で誘導したことがあるそうです。


 ここで注目すべき点は、使えなくなった武装は全部Zには無いグレートならではの追加武装だということです。つまり、Zの武装コンセプトにおいては、手を使う武器がまったく無かったからロケットパンチで腕を飛ばしても問題なかったのに対して、手を使う武器を追加したグレートにおいては、それが弱点になってしまったということなのです。


 なおかつ、グレートにおいては珍しくZよりも退化(弱化)した点として、ルストハリケーンでは酸が付加されていたのに対してグレートタイフーンは強風だけで威力が落ちているということと、ロケットパンチ発射後の腕から発射できるドリルミサイルに相当する武器が無いということが挙げられます。これらは腕が無くなったあとの装備が弱化していることに他なりません。


 こうして考えると、グレートの「しょーもない弱点」というのは、腕を飛ばすと本体の武装が弱化するという点に集約されると言っていいのではないかと思います。


 このあたり、製作者の兜剣蔵は気付いてなかったのかと突っ込みたくなるのですが、新装備追加に際しては実際に運用するまで欠点に気付かないなんてことはザラにありますし、運用で解決できる問題(要するにアトミックパンチの使用を慎重にすればよい)でもあるので、気にしなかった可能性もあります。


 ところで、このグレートマジンガーについては、非常に画期的なことがひとつあります。それは本当にほかの主人公ロボとガチンコで戦ったことがあるということです。


 前記の『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』において、ベガ星の指揮官に奪われて、グレンダイザーとガチ対決しているんですよ。『東映まんがまつり』の劇場版諸作品では『マジンガーZ対デビルマン』以降、いろいろと「対」がタイトルに付く作品があるのですが、ほとんどが「ライバルとして手柄を競う」という意味の対決で、実際にガチ対決したのはこれだけなんです。


 まあ、途中で兜甲児に奪い返されてしまって、結局は共闘という形で落ち着くのですが。それでも貴重なシーンであることは確かです。


 実は、これ劇場で見たというよりは、絵本でこの話を持ってたのを何度も繰り返し読んだので印象が深いという(笑)。実際に劇場版を見返してみたら作中のシーンではなく、絵本のシーンで記憶している部分も多かったですね。


 スパロボでは普通に強いスーパー系ロボットとして活躍してくれました。


 ということで、後世の評価としては、初代Zの方が高く評価され、続編として今ひとつ評価の低いグレートなのですが、ロボとしてのカッコ良さについてはもっと評価されるべきだと私は思っております。

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