せっかくだから丸紐について考える

 丸紐と凄惨な関係に陥っている私です。

 丸紐とは何か。靴紐の丸い奴です。耐久度だけは普通の紐より上です。それ以外は全て下ですがねぇ!(唐突なシャウト)

 丸紐について深く考える様になったのは、社会に出てからでした。それまでは、丸紐とそれほど近しい関係になる事はなかったのです。

『そういう紐もあるのね。ふーん……』

程度の、ある事は知っている、という関係。

 ところが、それはある日唐突にやって来たのです。

 昔から頑丈なものが好きな私。工事車両、戦車、『ガンダ○』で言えばジ○よりザ○、ザ○よりド○、『三びきのやぎのがらがらど○』で言えば、小さながらがら○んより、圧倒的に大きなやぎのがらがら○ん、という具合でして、頑丈なものには男のロマン的なものを感じていたのです。

 そんな私は、ある時、ポンプ式スニーカーからトレッキングブーツにかけがえのない魅力を感じたのでした。多分、その頃読んでいた『トーキョー・○ライブ2』が原因ではと思われますが、ブーツさえあれば、どこでも踏破出来そう! そんな妄想に深く深く囚われていました。

……ブーツの中は蒸れるとも知らずに。


 そこで、〇ーキンスとかのブーツを買ったのです。その安定感と来たら

『フン、こいつを知ったらスニーカーなんざペラくて履いてられねえぜ。あばよ』(大意)

という具合でして、もう履くのに時間がかかるのを度外視し、どこへでもブーツでGOでした。季節も問わず、ブーツでGO。そりゃ足も蒸れますわ。

 さて、どこでどう間違ったのか、そこで出会ったのが丸紐です。買ったブーツの紐が丸紐でした。試着したはずですが、そこだけどうにも私は節穴アイだったと言えましょう。

 これが本当によく解ける。履いた傍から解ける事もしばしば!

 どうきつく縛っても、奴は解けるのです。やる気がないとしか言い様がない解けっぷり! 誰だ、こんなものを靴の紐に用いようとした奴と取り入れた奴ぁ!?

 という訳で、そこから次第に、私のブーツ愛も薄まって行ったのでした。

『あたい、あん時あんたにひどい事言ったけどさぁ、謝るから、やり直さない……?』(大意)

と、昔の滅茶苦茶に髪を膨らませるパーマにそこらを履いて回りそうなロンスカスケバン姉さん風の心境で、ブーツからスニーカーにすり寄って行ったのでした。

 うひょう、軽薄ゥ!


 以上の様な経緯があり、丸紐は当方では受け付けておりません。

 奴だけは駄目だ! 不採用!! あんなん靴紐ちゃうわ!

 皆様も、靴紐にはくれぐれも気を付けられたいです。


 その丸紐、本当に解けませんか?

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