魔法使い見習いのカキ氷屋#10

「こんにちは」


 眩しいほどの笑顔に添えられたその挨拶に僕とチョコは苦虫を噛み潰したような表情を返した。


「なんですのぉ! なんですのぉその表情は!」


「申し訳ございません。少し驚いてしまいまして」


「マカロンちゃん、ごめんね。チョコったらてっきり『ごきげんよう』って言ってくると思ったものだから普通の挨拶に驚いちゃって」


 僕とチョコがそれぞれ言い訳をすると、短期間ではあるけれど共に魔法を学んだことのある魔女見習いのマカロンは頬を膨らませた。


「なんですのぉ、私だって庶民的な言葉遣いくらいできますわ」


「それは失礼いたしました」


「お詫びにカキ氷作ってあげるね」


「あ、ありがとう存じます。風の噂でこちらのカキ氷は美味しいと聞きましたわ」


 そんな噂がマカロンの耳に届いていたことを誇りに思いながら僕は氷を削った。



9月6日 クッキー

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