妖狐のケーキ屋さん#8
「流石よ、キリ君。浴衣姿が様になっているわ」
ヴィルゴさんとの約束があったのでいつもより早く店仕舞いをしたおれは大急ぎで仕事を終わらせて来たというヴィルゴさんに浴衣の着付けをお願いして祭りへと出掛けた。
「ヴィルゴさんも浴衣がよくお似合いだとおれは思いますが」
「キリ君、それは本音?」
ヴィルゴさんは文字通り瞳を真っ赤に変えておれを見つめてそう聞いた。
「おれは妖狐ですけど騙すのは苦手ですから、間違いなく本音です」
妖狐としてのコンプレックスを話すつもりなど無かったのだが、ヴィルゴさんにはサラリと言えていた。
「疑ってごめんなさい。キリ君はとてもいい妖狐だわ」
ヴィルゴさんにそう言われておれは全く悪い気はしなかった。
「さ、折角浴衣を着て来たのだから思いっきり夏を楽しみましょう」
平成最後の夏にとてもかけがえのない思い出が出来た。そんな気がした。
8月20日 キリマンジャロ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます