悪魔の洋服屋#12

「速達郵便です」


「お疲れ様です」


 店舗兼事務所予定の現空きテナントにスライム族のパープルが速達郵便を届けに来てくれた。


「ユースケ、それは?」


「これか?」


 興味あり気に届けられた箱を見るゼバのためにオレは少し雑に包装を剥がしてこの数日楽しみにしていた物を箱の中から取り出した。


「これって、看板?」


「そう、オレたちが始める店の看板だ。格好良いだろ?」


 魔法界産の水色の金属にユグドラシルでおもちゃ屋を営んでいるドワーフ族のアンザンさんの知り合いに加工してもらった看板にはオレたちが始める店の名前『SkyMeスカイミー』という文字が刻印されていた。


「悪くは無いね」


 素っ気ない反応だったが、ゼバの表情はだらしなく緩んでいた。


「さて、この看板に負けない服をデザインしないとな」


「根拠は無いけどさ、出来るよ。だってボクたち天使と悪魔が手を組んだんだもん」


「そうだな。エンジェリーとデビライズ以上にお客さんを笑顔にしよう」


 天使と悪魔の洋服屋『SkyMeスカイミー』は新たな一歩を踏み出した。



6月26日 ユースケ

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