第46話 目的

 僕とさくらは、異世界の食材で拵えた朝ご飯を食べ、出掛ける準備をする。

 ウィルはと言うと、さくら曰く、料理しているところにふらふらとやってきて、味見と称してつまみ食いを少しの間すると、満足そうな顔をしてどこかへ行ったらしい。


「とりあえず、カイトのところに行きたいから案内して」


 二人とも身支度を終え、ギルドの寄宿舎を出るとさくらが道案内を頼んできた。

 なぜカイトに所用があるのか気になり、目的地に向かいながら聞いてみる。


「なんでまたカイトに?」


「うーん……まだ内緒!」


 多分だが、朝の吹っ切れた様子と関係のあることだと思う。まあ、何にせよカイトのところに行けば分かるので、深くは追求しないことにした。



「おー!真冬とさくら久しぶりだな!!」


 カイトの工房に行くと、カイトは休憩をしていたのだろうかだらだらしており、すぐさまこちらに気が付いた。


「久しぶりカイト!」


「久しぶり!今時間大丈夫かな?」


 雑談や近況報告をしたりなど、クッションを挟まないということは、さくらは早々に本題を切り出したいみたいだ。

 僕がガンダと戦っていたときにカイトは、相手のアジトに辿り着き戦闘していた、とさくらやフランさんに聞いていたので、僕としては、本人の口から諸々と聞きたいことがあったが、さくらが来たいと言って来たので、ここは譲ることした。


「おう、今ちょうど休憩してたとこだ!どうしたんだ、さくら?」


「――私に新しい杖を作って欲しいの」


 ……杖?杖と言えば、あの杖だよね


(はい、そうです。杖と言えば魔法を使う際、威力や調整をしやすくするための媒体です。おそらくですが、ダンジョンでの魔力爆発で壊れてしまったのでしょう)


 さくらに、以前買ってあげたから杖がどういうものかは分かるんだけど、なんで必要なんだろうか。昨日の感じからすると、さくらは戦うことに全面的に反対で、地球に帰る、と言うと思っていたので、ますます不思議に思う。


 やっぱり朝の吹っ切れたような表情と関係があるのか。


「作っても良いけど、何に使うんだ……?ウィルから魔神のことは聞いていたけど、そいつと戦うためか?」


 ウィルが用事があると言って、どこかへ行ってたのはこのことだったのか。

 って、そんなことよりさくらの方が気になる。


「私ね、決めたの――」



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