ばーばーはるちゃん

バーバーはるちゃん


それは深夜10時から、たまにしか開かない、特別な特別なバーバー…

ではなく、ごく普通に10時〜19時まで営業しているバーバーなのだ。

定休日は毎週火曜日と、第二・第四水曜日。

店主ははるちゃん。バーバーの店名と一緒。


今日もお客がやってこないなあと、

庭でひなたぼっこしながら猫とまどろむはるちゃん。

いい忘れてた。

バーバーはるちゃんは自宅で営業しているため、縁側と庭があるのだ。


縁側でお茶をすするはるちゃん。

猫はつんつんと蝶々をおっかけ始めた。

様子を見守るはるちゃん。


まだまどろんでいたが、

はぁーよっこらしょと立ち上がって台所へいき、湯呑みを洗うはるちゃん。

じゃぶじゃぶと洗う音が耳に心地いい。

きゅきゅっと湯呑みを拭いて、丁寧に食器棚にしまう。


はぁーよっこいせっと座って再びまどろむはるちゃん。

やがてすうすうと寝息を立てる。

はるちゃんの昼寝が始まったようだ。


バーバーはるちゃんにまだお客は来ない。

はるちゃんは気にせず深い深いまどろみの中へ。


ひらひらと庭に咲いてる桜が舞う。

ふわふわとたんぽぽの綿毛が飛ぶ。

芽吹く新緑たちははるちゃんを夢へといざなう。

心地よい夢を見ているはるちゃんの顔は、やさしい。


すっかりとっぷり日も暮れて、バーバーはるちゃんは閉店の準備。

ぱちりと眼を開いたはるちゃん、慌ててお片付け。

本日の売上は0円。

はるちゃん、しょぼん顔。


また明日があるからと、はるちゃんは夕食の買い出しへ。

バーバーはるちゃんでは、きっとこうした日々が続くのだろう。


はるちゃん、はるちゃん。こまったよ、

話がすすまないよはるちゃん。

このままじゃ開店休業倒産確実だよはるちゃん。


でも、バーバーはるちゃんなんです。

そこは変わらない。マイペース。


バーバーはるちゃん。

そこはただのバーバーはるちゃん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る