私は可愛くない女の子。

私は可愛くなんてない。

背も高く、顔は中性的、スレンダー、筋肉質、声も低く、性格も男勝り。

そんな私を、女の子扱いする人がいる。


それも、可愛い女の子みたいに。


私なんかよりもっと可愛い人がいるのに。

私なんかよりもっと女の子らしい人がいるのに。

まるで私を、かわいい女の子のように扱う。


「ねぇ汐織ちゃん!どっちがいい?」

「碧さんが着るんですか?なら、」

「着るのは汐織ちゃんよ?」


私にそんなレースたっぷりの甘めの服なんて似合いませんよ。

私にそんな可愛い服は似合いませんよ。

そう伝えても、それでも、


「きっと似合うよ。髪が短いからあれもしれないけど、ロングなら絶対似合う。」


そういうあなたはとても楽しそうで。

そういうあなたはとても嬉しそうで。

とてもとても、恥ずかしくなる。


「碧さんがそういうなら、伸ばしてみようかな……。」

「ぜった可愛いよ!!」


キラキラと目を輝かせて私を見つめるあなた。

本当に可愛らしいです。

あなたが似合うというのなら、髪を伸ばしてみようかな。

可愛い服を着てみようかな。

そう思えてしまう。


「でも、ひとりでそんな服着ませんからねー?碧さんも着てくださいよ?」

「えっ、」


想定外の返しに驚く碧さん。

今まで私がそんなことを言ったことがなかったから。

私だってたまには可愛い碧さんが見たいんです。

ココ最近は、いつもシンプルでちょっとかっこよさげな服しか着てくれない碧さん。

私の前だからって油断してるところは可愛いんですけどね?

私が好きな碧さんはどっちもですから。


でも、一人で着るのは嫌ですから。


「……汐織ちゃんが着るならね!!」

「ふふっ、楽しみにしてます。」

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