今日のラムネのお味はいかが?
柚雨。
涙。1
いつも眠かった。
何時間寝ても、眠かった。
最初は、タブレット。
半月で1本とかなくなっていたが、今は、1日1本とか食べちゃいそう。
睡眠打破系の飲み物も効かない。
病院に行くと、『反復性過眠症』と診断された。
それは、とにかく睡眠時間が長い。
20時間とか普通に寝る。
まさに、その通りだった。
気づけば寝ていて、起きれない。
学校は、ほとんど行けていない。
頑張ろうという気にもなれなかった。
あの人が現れるまでは。
「あ、おはよう。」
「おはようございます……。」
「今日は来たんだな。何時間寝た?」
「えと、20時間。」
「ほぼ寝てんな」
そういうと、カラカラとわらった。
その人は、その先生は、若くて、面白くて、楽しくて、
とても好きな人。
「今日は起きてられそうか?」
「ん、たぶん。」
「そうか。しんどくなったら保健室ここに来い」
「はーい。いってきます。」
久しぶりに行く教室は、何ら変わりなかった。
相変わらず、視線が痛い。
めったに来ないし、みんな反復性過眠症って知ってるから。
この視線が、嫌だ。
「授業始めるよー」
先生がきて、視線の嵐は収まった。
やっと傾眠期が終わって眠気も普通になった。だから、学校にこれる。
けど、クラスメイトの視線がつらい。
珍しいものを見るような視線が辛い。
耐えられなくなって……
「先生ー。」
「なんだ。」
「俺の隣の人顔色が」
「またか。保険医に連絡し手迎えに来てもらうか。授業はすぐ再開するぞ~。」
そんな会話が聞こえる。
意識は朦朧としていても、自分のことだとわかる。
またやらかしたんだ。
もう、学校やめたい……。
✿✿✿✿
気づけばそこは、見慣れた場所だった。
「起きたか。」
「……。」
「もう少し休んでろ。」
先生は本当に優しい。
担任なんかと大違い。
本当に、あの人は大嫌いだ。
「あの、さ。考えたんだ。……高校、通信にしたらどうだ。」
「え、通信……?」
「……そう。そしたら、ストレスで倒れることもなくなると、思う。」
でもそうしたら、先生と会えなくなる。高校をやめずに頑張っていられるのは、先生に会えるからで……。
あ、先生も迷惑なのかな。いつもいつもよく倒れて、迎えに来るのが。
そう考えると、辞めるしか……。
「そうすれば、ここの生徒じゃなくなるし、俺の想いが、叶うんだけどな……。」
「え?」
そういう先生は耳で真っ赤で。
これって、つまり、そういう……。
「先生は……、生徒を、私を……」
「そういうこった。だから、さっさと手続きしてこい。費用は俺が持つから。」
あぁ、どうしよう。
嬉しくて、書類が見えないや。
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