第23話
その夜、私は眠れなかった。
『私の兄は、犯罪者では無い!あれは……!藤原氏が仕組んだ………』
伴春雄が最後に言い残した言葉。
それがどうも頭にこびりついているらしい。
藤原氏の暴走。
教科書で知っていただけの時は、当事者意識なんて全く無かった。
歴史に名が残った出来事だけではない。
その事件や人物の周りには、こんなにも生きている人たちの物語があったのかと痛感させられる。
もしかしたら、応天門の変は藤原氏の策略だったのでは…?
そんな疑念が頭をよぎる。
平安に来て、あったじょとは悪いことだけではなかった。
私は自分の中で何かが変化して来ていることを感じ始めている。
東三条殿で…自分から何かをしたのは初めてだったのではないだろうか。
今までよりも、感情の起伏が激しいかもしれない。
それは多分、本当の梅花のおかげ。
彼が自分の夢に真っ直ぐだったから。
きっと感化されたのだ。
私は胸がむず痒くて、形容し難い気持ちが湧き上がってくるのを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます