羊たちが沈黙する

羊の群れが草原を駆け抜ける

私はテレビ越しから、それを見ていた

瑞々しい青草を探す為

本能のままに嗅覚を研ぎ澄ませ

生きることに特化した動物たちを私はテレビ越しに見ていた

そして、羊たちは沈黙の元に犠牲を払う


ああ、狼だ。勝てぬ勝てぬ

お前が残って食われてしまえ

その間に逃げるから、お前が食われてしまえ


羊は悼む、という感情を持っているのだろうか

人は悼むが永遠を誓わない

死に囚われれば精神が破壊されるからだ

「かわいそう」「かなしい」そんな言葉で片付けられる人間の感性


私には、羊たちが何事もなかったように逃げ切り草を食べ

繁殖し、狼に出会い、犠牲を作り、見捨て、また繁殖を繰り返す

決められた摂理であるならば、人間も感傷に浸らず

動物的に作られればいいのに

脱落するものに「仕方ない」と諦めて保証も人権も無くせば

無くせば世界は思いの外、生きやすくなるだろう


捨てられるかは別として

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