Tale2.メアリーのお留守番

 今日は、メアリーひとりでお留守番です。おじさんは朝早く、お仕事に出かけてしまいました。だから、おじさんが帰ってくるまでの間、おじさんのくれた本を読んでじっとお留守番をしているのです。


 おじさんは、メアリーにいろんなことを教えてくれます。

 窓の外にあるものについて1つずつ教えてくれるし、それにお仕事から帰って来た時に持って帰ってくるいろんな物のことも、それがどうやって生まれて、どうなっていくのか話して聞かせてくれます。

 あと、おじさんが好きなのはメアリーが生まれるよりも前の、うんと昔のお話。それに、メアリーでは行けないような遠い遠い国のお話もよく聞かせてくれます。おじさんは、とっても物知りなのです。


 おじさんが聞かせてくれるお話には、楽しいお話も怖いお話もあります。思わず笑ってしまうほどおっちょこちょいな王様のお話や、あまりに怖くて泣いてしまった、怪物のお話。メアリーも行ってみたくなってしまうような不思議な世界のお話もあります。

 そしておじさんは、メアリーが笑っているときは一緒になって笑ってくれて、メアリーが泣いてしまったときには優しく慰めてくれます。


 大丈夫だよ、メアリー。

 怖いことなんてないさ。

 ずっと傍にいるからね。


 怖くて悲しいお話も、おじさんのそんな優しい言葉でへっちゃらです。もちろん、楽しいお話も大好きです。楽しくて明るい気持ちになれるのと、そんな話をしているときはおじさんも楽しそうにしているから、メアリーは幸せな気持ちになれるのです。

 メアリーは、おじさんからお話を聞く時間が大好きです。


 そんなおじさんの読ませてくれる本も、面白いものばかりです。

 よくわからない言葉があって読めなくても、おじさんは怒らないで優しくその言葉の意味を教えてくれます。丁寧に、メアリーにもわかるように。そのときも、おじさんはとても楽しそうにしています。

 そうして、メアリーがその言葉を覚えると言ってくれるのです。


 おりこうだね、メアリー。

 そんなお前が大好きだよ。


 そんなお勉強の時間も大好きだから、メアリーはおじさんを待っています。

 早く帰って来ないかな、おじさん。

 そうしたら、今日もいっぱいお勉強したいな。お勉強をちゃんとしたらたくさん褒めてくれるおじさんが、メアリーは大好きです。


 早く帰ってきてね、おじさん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る