陽炎の森90 夕餉が終わり一服したので、それぞれに巡察に出かけたのです、清之進達が鋳造所近くの居酒屋に入ると、多くの鋳造職人が飲んでいました、卓の小鉢に塩があります、


陽炎の森90


夕餉が終わり一服したので、それぞれに巡察に出かけたのです、清之進達が鋳造所近くの居酒屋に入ると、多くの鋳造職人が飲んでいました、卓の小鉢に塩があります、酒と肴を頼み、

娘にこの塩はお清めに置いてあるのか聞くと、いいえ、鋳造職人は一日中熱いところで仕事します、汗が沢山出て体の塩分が無くなるのでこれをなめて酒をのみ、塩分を取るのですと、

笑ったのです、


となりの鋳造職人が、お侍さん鋳造所に入った事がありやすかと聞くので、ないなあと答えると、1000度からの熱で砂鉄を溶かすんですぜ、熱いのなんのいったって、最初はいっ時も、

そばにいられませんぜ、あっし達はもう慣れやしたけどというので、それは大変なしごとだ、この酒ものんでくれとお銚子を渡すと、いいんですかというので、遠慮しないで飲んでくれ、

お姉さんお銚子もう二本とたのんだのです、


あれだけの鋳造所だ、たさんの鋳造職人が働いているのだろうというと、鍛冶職人もたくさんいやすぜと言うので、ほう、鍋や釜も作っているのかと聞くと、違いやすよ、もつとも、

口外してはいけねえと言われているので、いえねえですがと口を濁したのです、それでは腕のいい鍛冶職人もたくさんいるのだろうと聞くと、3人程すげえ腕の持ち主がいやして、元は、

会津の刀鍛冶で、


ほら名刀といわれる会津小鉄を作っていたそうです、いい給金で雇われているらしいですぜ、こんな居酒屋ではなく、お茶屋で飲んでるそうで、うらやましいですよと言ったのです、

目明しが入って来たらしく職人が目くばせしたので、入り口を見ると、目つきの悪い男が席に近づいてきて、どこから来なすったと聞くので、仙台からだというと、色々職人に余計な、

事を聞いてはいけやせんぜというので、


人がいい気持ちで飲んでいるのに、いきなり入って来てがたがたとうるさい男だ、引っ込んでいろというと、懐から十手を出しなんなら番屋に来てもらいやしょうかというので、

なにお~と立ち上がり、抜く手も見せず刀を振り下ろすとガキ~と音がして、十手が真っ二つになったのです、男は腰を抜かしへなへなと座り込んだのです、刀を納めわしの脳では、

こんなもんだ文句があるかというと、


暫くして立ち上がり、覚えていろこののまでは済ませないぞと、走って店を出ていったのです、となりの職人が、驚いた、すげ~え腕ですね、早くお逃げなせえ、役人をつれて戻って、

きやすよと言ったので、木っ端役人なんぞ怖いもんか、さあ遠慮しないで飲めというと、へえ、腕っぷしも強けら、気も強ええやと感心しています、


暫くすると町奉行配下の小林四郎である、そこの怪しい浪人者神妙にしろというので、ここでは迷惑だ外にでろといい、そとに出ると取り方が取り囲み、小林がそれ召し取れというと、

一斉に飛び掛ってきたので、伊織と清之進が片っ端から肩と足を払うと地べたに転がったのです、小林が刀を抜き切りかかったので、伊織が峰で手を叩くと、ぎや~と言って刀を落とし、

たので肩を打ち据えると前に倒れたのです、


引き起こし、葵の紋の入った脇差を見せ、ここの役人は誰かれ構わず因縁をつけるのかと言うと、平伏し申し訳ござらぬというので、勘弁ならぬ、清水屋という旅籠に泊まって、

おるので、筆頭家老を謝りによこせ、こないなら、城におしかけるぞと脅かすと、わかり申した、お奉行に相談の上お伺いしますと、引き上げていったのです、


伊織がやり口が段々真一朗殿に似てきましたよと笑ったのです、これで鋳造所に会津から逃れた鍛冶職人がいる事がわかった、家老が来たら、会津から金を盗んだ不届き者だから、旅籠に、

つれて来いといえば、つれてこないわけには行かないでしょうと清之進が笑ったのです、尚に真一朗殿を探して事情を話し、旅籠に戻るよう伝えておくれというと、承知と城下に真一朗を、

探しに出ていったのです、


旅籠に帰ると、真一朗も帰って来ていました、清之進様、まったく乱暴な事をしますねというと、なにをいっておる、真一朗殿のまねをしたまでです、家老がくれば手間が省けますよと、

笑ったのです、暫くたって、女将があのう、下に筆頭家老様が若い侍に取り次いでくれるように言っていますがというので、清之進がこちらにと通しなさいというと、部屋に筆頭家老、

町奉行、同心の小林が入って来て、公方様ゆかり之方とは存知ず、


町方配下の目明しが無礼を働いたよし、誠に申し訳御座いませぬ、目明しは捕縛し牢にいれてありますと話したので、手を上げなされ、我々は公儀巡察方であり、領民を守為の、

巡察をしているのだ、城下の居酒屋で領民の暮らしぶりを尋ねるのはいけぬのですかと聞くと、とんでもござらぬ、それが役目でごされば一向に構いませぬと言ったのです、


会津を巡察したおり、鍛冶職人が金を盗んで逃亡したとの申し立てがあり、探索していたところ、南部藩の鋳造所で働いている事がわかった、ここにお連れなされ、庇い立てすると、

ためになりませんぞというと、何かの間違いではというので、間違いかどうかみどもが詮議をするのです、その3人の者を詮議すると都合の悪い事でもあるのですかと聞くと、実は、

我が藩の鉄砲が古くなりもうしたので、


新しくする為、鉄砲を作らせているのですというので、南部藩は10万石ですから、20丁の鉄砲を持つ事は許されております、古くなった鉄砲を作りかえる事は法に触れる事ではない、

のでそれを詮議するつもりはないと答えると、あい分かり申した今連れてまいりますといったのです、ところで筆頭家老殿、鉄砲を作りかえる事は幕府に届けてありますかと聞くと、

届出が必要でごぞるのでと聞くので、


いや、強制しているのでは御座らぬ、内緒で作りかえると、叛旗でも翻すつもりかと痛くも無い腹を探られる事にもなりかねませんぞというと、そうで御座るな、さっそく届けておきます、

といい、小林に此処にその3人をつれてまいれと、命令したのです、3人が来ると、会津から金を持って逃走したとの申し立てがあった、その通りかと聞くと、給金は前払いで頂きましたが、

盗んではおりませんというので、


それではその給金の仕事はしたのかと聞くと、いえ、途中で取りやめとなりましたものでというので、それなら、しなかった分は返すべきだろう、いいといわれたのかと聞くと、黙って、

いるので、そうではあるまい、取りやめになった途端に行方をくらましたのであろう、ところで受け取った給金はいくらだと聞くと、へい3人で60両でございますと言うので、10両盗め、

ば斬首という事は知っておろう、


神妙に出頭した事に免じ斬首は勘弁してやろう、しかし、島流しは免れぬこれより江戸に引き立てて、再吟味をいたす、縄目はせぬので引き取りに来るまで別室にて謹慎せよと申し渡し、

筆頭家老殿、宜しいかなと聞くと、依存ありませぬと答えたのです、それから牢に入れられている目明しは今回かぎり許してつかわすので、元の目明しとしてお使いなされ、

みどもの手でしっかり罰を与えておきましたのでなと言ったのです、


お手を煩わして申し訳ありませぬと筆頭家老一同は引き上げていったのです、真一朗がお見事な裁きでしたというと、みんな真一朗殿の物まねですよと笑ったのです、そこにメイが帰って、

来て、なにか捕り物騒ぎがあって、座敷はてんや、わんわで大店の旦那は皆遊びを切り上げ、お開きとなりましたよというので、それは清之進殿のせいですよと皆が笑ったのです、


ゆうが帰って来たので3人を確保した事を話すと、わかりました江戸へ連れて行き幕府に協力させます、南部藩もビックリして鉄砲の製造をやめるでしょう、鋳造した鉄を売る事は法に、

触れることではないのですからといい、清之進殿お見事でごさいましたと褒めたのす、小頭も帰ってきて今回の事には商人の賂などはありませんでした、たまたま、腕のいい鍛冶職人、

が来たので儲かる鉄砲に目がくらんだのでしょうと言ったのです、











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