第36話 味方(前半)

「アタシには、小吉が、仲間がいるから。だから強くなれたんだヨ」

「サテナ……」

 なんか、それやるの今じゃなくね? もっとさ。時間経ってからさ。

「うるさい! 仲間なんかおっても強くなんてならんわ!」

 聞き分けのない小町ねこは再び大きくなってサテナを襲った。

 しかし、サテナに攻撃が当たる前に小町さんは吹っ飛ばされた。

「にゃ、にゃんじゃ!」

 にゃんじゃー。

 多分これはね、わかるよ俺。

「エドル……。にゃにを……」

 やっぱりエドルでした。

「エドル、戦っても大丈夫なのか?」

「おう。心配かけてもーたな」

 エドルは明るく喋ったが、目は鋭く小町さんを睨んでいた。

「小町。あんたは理想の女性や。美人で大人で胸が大きくて積極的。小町を逃したらアカンってようわかっとる」

「そうじゃろうエドル。ならばなぜわっちに危害を加えるのじゃ?」

「俺が女に求めるもんで一番外せないもんを、あんたはもっとらんかった」

「なんじゃと?」

「それはな……」

 エドルの触手が小町さんの体を突き破った。一瞬の出来事で、目には見えなかった。

「人を思いやれる女かどうかっちゅうことや」

 エドルは泣いていた。

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