パフェ

「飾り細工と江戸切子のような切込みで細やかに装飾された透明なガラスの器に、たっくさんのロールケーキ♪ふんわりしたあまぁい生クリーム、そこから更にアイスクリームをのっけて、赤いいちごとみずみずしいオレンジたちで囲い込み、また生クリームでデコレーション!最後に鮮やかな彩りを添えるためにミントをひとつ…嗚呼、これこそ私の求めていたスペシャルパッフェェ…♪」


「ゲロ甘そーすぎて胸焼けしてきたわ」


「まぁ、なんてことをおっしゃいますの!私、ずっとお待ちしておりましたのよこのパッフェ…今宵一夜限りしかお目にかかれませんなんて、素晴らしく甘美な響きじゃありませんこと…?」


「パフェは恒常メニューってホームページに書いてあったろ」


「なんてことおっしゃいますの誠!この日、この時間、このお店で、蘇芳誠と私、龍ケ崎峰子が一緒に食べられるパッフェは今宵限りではございませんの……私、私……」


「いやいやさめざめと泣くなよ!?周りの人こっちじろじろ見てきてるんだけど!?」


「……ふっ、まだまだ青いですわね誠……」


「泣いてねーんかよ!?ベタすぎて突っ込む気にもならねーよ!?……、あ、ほ、ほら来たぞお前の待ってるあいつが」


「……」


「…………(固まってるなあ)」


「んっん〜〜〜!!」


「(ビクゥッ!)」


「な、なんと素晴らしき哉!中央に添えられたバニラアイスクリームとミントの葉を覆う生クリームの衣装は繊細で美しく、彩りを添える絢爛豪華なフルーツの盛り合わせと調和しておりますわ!」


「お、おう」


「中のロールケーキ達の生地の色、ご覧になりまして!?赤、白、緑で派手目かと思えば、器が万華鏡のような役割りを果たし美しく輝いておりますわ……あぁ、嗚呼……素敵……想像以上ですわこのパッフェ……私、見るだけでとりこになってしまいそう…はぁん…」


「既にパフェ中毒じゃねーかっつか早く食べねーのかよ」


「もっと感動に浸らせていただけませんの!?」


「アイスが溶けてるぞ」


「嗚呼ッ!ごめんなさい私としたことが……!待ってて、今食べますわ愛しのパッフェ……!!はむんっ、」


「(黙)」


「はむっ……はんっ、…ぁあ……っ!この体を駆け巡るような冷たさと甘さのハーモニィぃに捕まっちゃった、私……!フルーツたちも…ぁむっ、、ひゃっ、ぁうっ、たゆっとしたクリームの食感だけじゃなく、フルーツの持つしゃくっとした食感のマリアージュに屈しそう……♪ロールケーキも1つ1つが口の中でふんわりとけて……もう、口に入れると、すべてが程よく調和して…いいの、たまらなすぎて美味しいのぉ……!!やっ、やぁん、スプーンの手が、止まらないのぉ……!」


「(なんかエロくね?)」


「はぁ…はぁ……ぁん、美味しかったですわ……♪」


「食べるの早くね!?」


「そんなことはありませんわ……ぁあん、もっと食べたいんですの……♪おかわりしたいの……、だめ?」


「いやそんなかわいい顔されちゃうと俺もおかわりどうぞどうぞってなるけど!?」


「はぁ…ぁあ……あ、そうですわ誠。私、ずっとあなたと一緒にいたいから結婚しましょ。うふふ。だからパッフェおかわりさせてくださいましね」


「今さらっと大事なこと言ったよな!?」


「うふふ、店員さぁん、スペシャルパッフェもう1つくださいな……♪」


「ち、ちくしょー、俺が先に言おうと思ってたのに……」

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