ファミレス②

「はい、何か御用でしょうか?(はっ⁉︎このお客様は……)」

「ほんまに来た……しかもえらく渋い声だし……」

「言ったろ?これ鳴らせばすぐ来るんだって」

「本日はご来店いただき、誠にありがとうございます。ちなみにこの声は、私の自慢の特技の一つにございます。(何度か来られたことのある、私を呼んではエゲツない言葉の暴力を振るった、悪気はないんだけどナチュラルな暴言でトラウマ必至のお客様……気をつけなければ、心を破壊される)」

「ふーん、別にどうでもいいけど」

「…………」

「いきなりそれ⁉︎……当たりキツ過ぎだろ、店長引いてるぞ⁉︎」

「お客様……(私を庇ってくださるなんて)」

「いいんだよ、こいつ店長だし」

「……お、お客様(ひ、ひどい⁉︎)」

「おいカモ!店長泣きそうになってるぞ!」

「ところで、何か御用が……(早く用を済ませて立ち去るが吉だ)」

「いや別に?こいつがあんた見てみたいって言ったからただ呼んでみただけ」

「おい⁉︎」

「……そっ……そうでしたか、では、私はこれで(そこから始まっていたのか、でもこれはこれでよかった……)」

「おい!店長!気をしっかり持て!……おいカモ、いくらなんでもかわいそうだろ」

「お客様ぁ〜……(やっぱりいい人だこのお客様)」

「店長に情けはいらねーよ?だって店長だし」

「うぅ……お客様ぁ〜(相変わらず無邪気な表情でひどいことをおっしゃる〜)」

「お前店長をどんだけメンタル強いやつだと思ってんだ⁉︎」

「……うーむ、こんぐらい(親指と人差し指を伸ばしたくらい)」

「その指からじゃ、それの指す意味が強い方なのか弱いのか、読み取れねーわ」

「……そっ、そんなに強くは無いですよ〜(しまった。立ち去るタイミングを逃してしまった)」


「えっ?じゃあ、これ(小指の爪くらい)が普通の人くらいで、これ(さっきの)が店長。」

「なるほど、それはすごいな……」



「(……もういいかな、お二人で話し込まれているし、今のうちに……)」


「あっ、あの〜……他の席のお客様のお呼び出しがあったので、私はこれで……」

「あっ、まだいたのか、うん、どうぞ」

「……お前店長に厳しすぎるわ」


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