ヒント‼︎かる(ガモ)

「ちょっとおねーちゃん⁉︎」

「よお、かる、どーしたんだよ、そっちから話しかけてくるなんて、2年ぶりぐらいじゃね?」

「そんなわけあるか‼︎昨日喋ったろうが‼︎って、そんなこと今はどーでもいいの‼︎それより‼︎さっき、公園で誰か男の人と二人で会ってたでしょ⁉︎」

「……っ‼︎……ああ、見られちったか……」

「見られちったか……じゃないわよ⁉︎びっくりしたじゃない‼︎友達と帰る途中に公園横切ったら楽しそうに話ししてるおねーちゃんと知らない男の人がいるんだもん‼︎」


「……別にいいじゃねぇの?知らんぷりすれば?いつもみたいにさ……」

「そうはいかないのよ‼︎……今日だって、友達が『あれ、援交じゃね?』って言うから、『マジ⁉︎誰だよありえねー』って見てみたらおねーちゃんだもん、心臓止まるかと思ったわ‼︎」


「……別にいいじゃん、かるには一切迷惑かかってないんだし、適当に話合わせて知らんぷりすりゃいいだろ?」

「そうしたわよ‼︎……でも、いつまでもそれでやり通せるとも分からないじゃない‼︎たまたまその友達はおねーちゃんのこと、私の姉だってこと知らないから良かったけど、もし知ってる子とかだったら、私がどんな目に合ってたか分かってる⁉︎」


「知るか‼︎だいたい私がどこの誰と何しようと、勝手だろ?」


「……ナニしたの?」

「してねーよ⁉︎……だいたい、あいつにはちゃんと付き合ってるやつがいるし、私とはどーもならねーよ」


「……っ‼︎……おねーちゃんが、援交な上に不倫……頭悪いし、高校も不登校だし、やさぐれてろくに働きもせずに家に引きこもってゴロゴロしてるおねーちゃんが、ついに援交不倫にまで手を出してたなんて……」

「だから‼︎そーゆーんじゃねーって‼︎……確かに、私はあいつのこと……だけど、でも援助とかしてもらってねぇから、かるの思ってるようなことはないよ‼︎」

「えっ?それってどーゆーこと?おねーちゃん、あのおっさんにお金もらってないの?」


「あたり前だ‼︎この前はたまたま昼奢ってくれたけど……」


「……やっぱりそれ援交じゃ……」

「違うって‼︎普段なんて、むしろ私がお金出す方だし‼︎最近なんて母さんにもらった諭吉、残った分は全部あいつにあげてるくらいだし‼︎」

「……まさかおねーちゃん、母さんが『最近やたら物が高くなったのね〜』とか言ってたの、いつもおねーちゃんにおつかい頼んだ後だし、まさかと思ってたけど、全部そいつのために使ってたってこと?」

「……仕方ねーだろ?あいつ、そうしたら喜ぶし……それに最近ではとくに、食べ物とか買ってやると喜ぶんだ‼︎あの笑顔が見られただけで悔いはない‼︎」

「…………(姉がダメな奴に恋して貢ぎまくってるという、知りたくもなかったことを知ってしまってどう反応していいか分からない目)」

「……だって、日頃話し相手もいないし、やることない私にとって、あいつに毎日食べ物買ってやるのが唯一の楽しみになってんだよ‼︎」


「……そんな自慢げにおっさんに貢いでる宣言されても、困るんだけど」

「……バッ……だいたいあいつおっさんじゃねーよ‼︎まだ25のおにぃさんって言ってたし‼︎」

「相手の歳は……たしかに微妙なところね……」



「でも‼︎おねーちゃんはどうか分からないけど、相手はどうなのよ⁉︎隙あらばおねーちゃん襲う気なんじゃないの⁉︎」

「だからねぇって‼︎あいつは私のこと、マブダチだって言ってくれたんだから‼︎」


「それはそれで……おねーちゃんは、それでいいの?」

「……まあ、あいつにちゃんとした相手がいる以上、本来ならああして話をすることすらダメな事なのに、毎日ああして待っててくれて、それで私のことちゃんと見て考えてくれてんだ。これ以上は何も望めねぇよ」

「おねーちゃん、マジやん……あの精神年齢小学生だったおねーちゃんが、一丁前に恋とか……」


「だっ……だから違うって‼︎」

「じゃあ質問。正直に答えて?」

「おぅ……急だな」


「はいまず1問目。朝起きます。まず考えることは、その人と自分がいつものあの場所で話す光景。そして『さぁ、今日は何話そう?』なんて、でへへ……」


「ハッ……ンな訳……」

「正直に答えて‼︎」

「……はい。その通りです。」


「はい続けて2問目。そのまま妄想スタート?」


「…………そ、そんな……」

「…………ッ‼︎」


「……ひゃい。」


「ちなみにそれに出てくる相手は自分じゃなく、自分が今まで会った中で一番嫌いな、でも逆に印象に残りすぎて忘れられない、あの女?」

「なんでそんなことまでわかんだよ‼︎」


「はい、では最期の質問。自分の大好きな彼が、自分の一番嫌いな奴に汚されるのを想像して、正直吐き気がするくらい気持ち悪いしムカつくはずなのに、すごく興奮する?」


「……………。」



「ダダン‼︎発表します。」


「なっ……なんだよ?」


「診断結果。おねーちゃんは生粋のドMであることが判明しました。」

「なんでそうなる⁉︎今の質問は私があいつのことどう思っているかについてじゃなかったのかよ⁉︎」


「……知りたいの?」

「あっ……いっ、いや⁉︎別に、自分のことくらい人に言われなくてもわかるし‼︎」


「へぇ〜……」


「そ、それに‼︎私があいつのことどう思っていようが、かるにわざわざ言ってやる気はねぇよ‼︎」

「まぁ、そうかもだけど……(もう、目が答え出してるんだよなぁ……)」

「だから‼︎わかったらさっさと自分の部屋戻って、明日から友達へどう言い訳するかとか考えとけよ‼︎」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る