背中 さんじゅうよん
新しく画廊に搬入された高坂百合子の絵は、今までとは趣がまったく異なっていた。
独特の色合いが印象的だった前作までとはガラリと変わり、黒一色で描かれていた。
黒を背景に、黒い背中。題名は『背中 二十五歳 喪失』。
ぞっとするほど悲しい喪失感を感じると画壇の話題になり、高坂百合子の名は著名な作家の列に並んだ。
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