第3話 侵略

 ついに侵略を開始した邪神クトゥルー!

 しかし、迫る危険にも鈍感な愚かな人間は、限られた時間を浪費するかの如く公園で遊んでいた。


「くっくっく、ゴミどもめ、今すぐ根絶やしにしてくれようぞ!」


 ぬらぬらとした触手をうねらせ、クトゥルーは子供たちの遊ぶ公園へと躍り出た。


「紙は燃えるゴミなのです。ごみ箱に捨てるのです」


「一号は空き缶を拾ったのです」


「二号も空き缶を拾ったのです」


 二つの空き缶!

 しかし、遥か深淵の先を見通す邪神の目はごまかせない。

 直ぐに正体を見破った!

 それは、ゴミはゴミでも、資源ごみだ!


「一号のはスチール缶なのです。二号のは、アルミ缶なのです」


「鉄は、こっちに捨てるのです」


「アルミは、こっちなのです」


 だが、予想だにしない出来事が起こった!

 クトゥルー三号が手にしていたのは、名状し難い空き瓶のような物だったのだ!


「三号は、空き瓶を拾ったのです」


 公園のゴミ箱には空き瓶を捨てる場所が設置されていない。

 ごみ箱に捨てることが出来ないのだ!

 ごみを根絶やしにする邪神クトゥルーの侵略計画はここでついえてしまうのか?

 恐るべき資源ごみ!


「空き瓶はどうすればいいのです……クキュー……」

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