第14話 討伐パーティの完成

「それはそうとして、凪沙はどうする?俺はラストがどうなってるのか見届けたいからやる」


「そうねぇ。面白そうだけどさ、私じゃ役に立たなくない?武術なんてやった事ないし」


「いや、そんなことはないと思うぜ。よく考えてみなよ。君、医大生だろ?」


「うん、そうだけど・・・あ、そうか!私は後衛ってわけね」


「その通り。ひょっとしたら、補助魔法だけじゃなくて、状態異常も出来るかもしれない。そのあたりは自分で試してみてよ」


「うん、わかった。なんだか、面白くなってきたわ」


「よし。じゃあ、意見がまとまった所で、今後の作戦だ。まず、当面の目標はサエちゃんの敵討ちだよな?センタ」


「ああ、奴は俺がぶっ殺してやる」


「俺は見てないんだけどさ、どんな奴だった?」


「今までで一番手ごわい奴やった。体もでかいしな。その時の俺の武器じゃ歯が立たへんかったから、でかい武器を持てるように訓練して、武器をバージョンアップさせたんや」


「ふーん。見せてもらっていいかな」


 俺は、ああいいよ、と言ってバージョンアップした刀を出してみせた。


「へぇー。好きな時に出せるなんてカッコいいじゃん」


「ふむ。普通の日本刀より長くて刃も大きいな。ちょっと持たせてもらっていいかな」


 俺は刀を渡そうと思ったが、鞘がいるなと思い、この刀に合う鞘を左手に思い浮かべた。


 そして、思い通りに出てきた鞘に刀を収めて、あつしに手渡した。


「うおっ!重いな」


 受け取ったあつしは、そう言って鞘から刀を抜いたが、持っているのがやっとだった。


「こんなもの、よく振り回せるな。センタ」


「ああ、10キロ位の鉄棒を毎日素振りしてるからね。この頃やっと千回振れるようになった」


「千回って凄いな」


 あつしは刀をさやに戻し、俺に手渡した。


「センタももう知ってると思うが、俺の武器は弓だ」


 あつしはそう言って弓を出して見せた。


「そして、こうやって引き絞って矢を思い浮かべると」


 引き絞った弓に矢が現れ、あつしはそれを壁に向かって、放った。


 ぶんっ!と弦の音がして矢は壁にガツッと刺さった。


「ひゃあー!カッコいいわねぇ。あたしも、攻撃系の魔法を使えないかな」


「やってみればいいと思うよ。全く経験がないと無理なようだが、派生させることは出来るみたいだからね。しかし、この弓じゃちょっと弱いな。俺も訓練してバージョンアップさせるか・・・」


あつし呟いてから


「さて、もうお昼も近いからこの辺でお開きにしようか。この後だが、昼からまた来るかい?」


と言った。


「うーん、そうやなぁ。剣道の練習もあるから来れるとしても夜やな。でも、夜に来ても魔物退治はできないしな」


「そうだな。俺も方法を考えて弓の訓練をしたい」


「あたしも、使えそうな魔法を考えておくわ」


「じゃあ、明日の朝に集まろう。場所はここでいいかい?と言うか、ここにしか入れないんだな」


「ああ、それなんだけど、慣れると行ったことのある場所なら入れるみたいだよ」


「ほお、それはいいな。どうやって?」


「同じやで。最後にいた場所を思い浮かべる代わりに、行きたい場所を思い浮かべるんや。やったのは今日が初めてやけど三度目で成功したわ」


「なるほど、分かった。それじゃ、とりあえず明日はここに朝の10時でいいかな」


「オッケー」


「じゃ、また明日ね」


 俺たちはそこで別れて、それぞれ現実の世界に帰っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る