第5話 帝子謁見
凰琳が入宮した翌日。
朝餉の席で黎翔は凰琳に声をかけた。
「凰琳、我が兄弟姉妹に会わせてあげるよ。そなたの会ったことのない方もいるからね。」
そう言って朝餉を済ませると帝子宮を訪れた。
「ここは…帝子宮…。懐かしゅうございますわ。」
「左様か。住まう方も増え、活気があるよ。おいで?」
宮の中に進むと、絢爛豪華な装飾が目に入った。住人の趣向が現れる宮殿は、住む人々の性格が出る。東宮は黎翔が落ち着いたものを好むため華美ではない品の良い装飾がなされているのだ。
遠くから駆け寄ってくる足音がした。2人が目を向けると元気よく少年が礼をした。
「兄上様っ!」
「
耀と呼ばれた少年の後ろから銀の歩揺をしゃらしゃらと鳴らし、歩み寄る少女がいた。
「耀っ!皇子たるもの走ってはならぬとあれほど…まぁっ、兄上様…ご挨拶申し上げます。」
優雅に一礼した。
「
黎翔は凰琳を紹介した。
「我が妃の凰琳だ。」
「耀皇子殿下、翠華公主様、皇太子妃となりました照凰琳と申します。」
「義姉上様ですねっ!皆を集めましょう!」
耀と翠華は黎翔の同母弟妹である。
「翠華姉上、我は兄上方を呼んで参りますっ。」
「では…
間を置かずにすぐに帝子達は集まった。
「皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
そう言ってその場の兄弟姉妹は身分に合わせた拝礼をした。
「楽にしてください。」
「御意に」
「殿下、何用にてお集めに?」
「我が妃を皆に紹介するためです。きっと遠くから見ただけでは話しかけづらいでしょうから。」
「良いことですわね、優様。私、子妃殿下と仲良うなりとうございますもの。ですわよね?
康王子の子妃、
「えぇ、もちろんですわ。私は康王子が子妃、弓清鈴と申します。清鈴とお呼びくださいませ。」
「清鈴様ですわね、良しなにしてくださいませ。灯幃様も私のことは凰琳とお呼びを。」
一人一人帝子達と話していった。
「凰琳、疲れてはいないか?」
「大事ございませんわ、鸞様。お話しするのは楽しゅうございますもの。」
その時、謁見の間の扉が開き、ころころと笑う女性の声が聞こえた。
「凰琳様、皇太子殿下は妬いていらっしゃいますのよ。」
その女性は幼い少女を連れていた。
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