第3話 子妃冊立
黎翔が皇太子になってから2年。
黎翔が自室で書読んでいると、扉が開いた。
「皇太子殿下。」
「どうしたのだ?昇勇」
「
紫蓮宮は皇后の住まいで、東宮のすぐ目の前にある。
「母上の御許にか?我の他に誰ぞある?」
「妃嬪、帝子様方の皆様と…大家の御渡りがございます。」
黎翔はすぐに立ち上がって昇勇を伴い、紫蓮宮に赴いた。
宮の門をくぐると異母兄が揃っていた。
「優兄上、
高淑妃の御子優王子
「鸞皇太子殿下、ご機嫌麗しく。」
3人は跪いた。
「お立ちください、兄上方。弟をからかうのはおやめください。」
3人は一糸乱れず立ち上がった。
「礼は重んじなければなりませんよ、鸞」
涼やかな彩結の声が響いた。
「母上、お早うございます。」「
3人は跪き、黎翔は一礼して近づいた。
「お立ちなさい、皆揃っていますよ。」
宮内の応接間に入った。すると、そこにいた暎帝以外は皆立ち上がり、皇子・公主は立ったまま礼をし、妃嬪と王子・王姫・君子・姫は跪いて唱和した。
「娘子、皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「大家。」
彩結は暎帝の隣の宝座に座った。
「皇后、鸞、よく来た。」
「遅くなりましたこと、寛大な御心でお許しください。父上。」
「許す。」
「皆お立ちなさい。ゆるりとせよ。」
全員が立った。
「さて、皆揃ったな。今日集まってもらったのは妃を迎えることになったからである。」
場がざわめいた。
「新しい妃嬪?」「いずこの貴族の姫君かしら…」
「余の妃ではない。子妃だ。」
妃嬪達は予想し始め、静かになる様子がない。変化の少ない後華宮の生活を送る妃嬪達にとってこの件は興味をそそるものだったのだ。
「まぁ、どなたの子妃君でしょう…康王子様かしら?」
「私の康様には子妃君がおられますわ。安君子では?」
「安様にはおられませんけれど…」
そこに身分の高そうな少女が2人入ってきた。
「御前、失礼いたします。義父帝陛下。」
「
「近う。」
京子妃と呼ばれた少女は優雅に跪いた。
「優王子が子妃、
「立て。」
「お心遣い感謝いたします。」
暎帝は微笑んで言った。
「ご苦労、連れて参ったか?」
「はい、あちらに。どうぞこちらへ、
照姫と招かれた少女は暎帝の前まで進み出て、風に流れるような所作で跪いた。少女がまとう衣は公主のような美しさで、佩玉から公主の降嫁した王家の王女、王公主であることがその場の人々には分かった。
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