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迷ってはいるが、まだそう決めたわけではない。
壁の時計を見ると、時刻は8時過ぎ。
「探しているのはこれかい? 電源が入ってたんで、落させてもらったよ」
「ちょっと、返してください!」
「GPS付きじゃ、居場所が直ぐに知られちゃうだろ? でも、その警報機能は役に立つかも知れないな」
携帯をあわてて取り返したが、宗也さんは何を警戒しているんだろう?
祭祀の危険性をほのめかし、わたしに忠告を与えてくれているようだけれど。
「なにか知ってるんですか? ちゃんと話してくれなきゃ分かんないよう!?」
「そうだね。話してから判断してもらうのが一番だ」
「ここ汐入はね、ちょっと特別な土地なんだよ」
宗也さん
「人を化かして殺す獺の話とか、河童から宝物をだまし取った男が呪い殺されるような、怖い話も多い。
あんまり女の子にする話じゃないけどねと付け足すが、その
キィも宗也さんの話に興味を示さない。テーブルに置かれたお茶のグラスを、唇でもごもご
「でもこの
宗也さんの話はどこに向かっているんだろう。汐入にだけその手の話が見当たらないというのは、どういう意味なんだろうか。浜辺で凶事に行きあったわたしからすると、とりわけ汐入に多くその手の話が残っていると聞かされたほうが納得できる気がする。
「意図的に伝えていないか、誰かが話を揉み消しているか。そんなふうにに読めないかな?」
ぞくりと。背筋に悪寒が走った。
町ぐるみで隠し伝える
「逆に、
「そ、それは、自然に対して恐れを抱いているか、感謝しているか。近くの村と
開きっぱなしの目に、
それでも、大好きなおばあちゃんがお
「そうだね。僕の話を
宗也さんは優しい
会ったばかりで距離感が近すぎる気もするが、不思議と嫌な気分はしなかった。デリカシーに欠ける部分はあるが、あっさりした見た目どおりに、下心を感じさせない接し方が安心できるのか。
なんだかまるで――
お母さんみたいだと思った。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884684049
お父さんみたいだと思った。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884684039
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