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午前中神社の手伝いを済ませ、いつものようにユリカの部屋にいる。今日は
おばあちゃんがいなくなった後、
最新のファッション誌やティーン向けの情報誌を定期購読してくれているので、情報にうといわたしでもなんとなく読んでしまう。おばちゃんのよろずやでは婦人向け雑誌か、1日遅れのジャンプくらいしか立ち読みできないし。
「そんでさー、やっぱり未来の自分の姿をイメージすることが大切なわけよ!」
ユリカはすでに希望進路の大学のある街のガイドマップや、おばさんに紹介して貰える部屋の候補の間取り図まで取り寄せている。彼女の成績なら絵空事ではないんだろうけど、ちょっと気が早い気もする。
「あんたらも
確かに、夏藤家の買出しに付きそって向かう街では、自分がいかに油断したファッションに身を包んでいるかを思い知らされる。同じ田舎住まいでも、みゅうみゅうはシンプルな服でも独特の清楚さを漂わせたり、小物でアクセントを付ける着こなしを身に付けているというのに。
「でも、あんまりおしゃれなのも、ここじゃ逆に浮いちゃうし」
いつ頃からだろうか。男性のべったりとした視線を、胸や腰の辺りに感じるようになったのは。自意識過剰と言われればその通りなんだろうけど。
「はあん!? また『大きいサイズだと可愛いデザインが無いよねえ』とか抜かしやがりますか!?」
自然と胸を抱くような姿勢になっていたわたしをどう勘違いしたのか。ユリカはわたしの胸をにらみ毒づき始める。
「とりあえずそのおしゃれさから程遠いお子様ケータイ! 通信費自分で払うんなら、あのヒゲの渋ちんも文句ないでしょ!?」
「でも、これでボタンは足りてるよ?」
「ボタンの数じゃなくて機能とか電話帳の登録件数とかの話しだし!?」
ユリカの八つ当たりを向けられたわたしの携帯は、確かに拝島伯父にあてがわれたものだ。けれど、今のところ電話帳のメモリはこれで足りているし、何十件も連絡先が増えている自分の未来が想像できない。
「胸のサイズはともかく。私は郁海さんの大学進学には大賛成ですけど、父は難しい顔をするでしょうね」
涼しい笑顔の美魚は、カップのサイズでは今春ユリカを追い越している。ギロリと
「みゅうみゅうも余裕ぶっこいてると、高2の夏に進路どころか彼氏もいない誰かさんみたいになるよ?」
若い時分なんてあっというまだよと、ユリカは頬を引きつらせながらもしたり顔で言い放つ。
確かに美魚は美人さんだけれど、恋愛相談はもちろん、浮いた噂も聞いたことが無い。もちろんわたしに話を振られても、気の利いたアドバイスは出来ないとは思うけど。
「みゅうみゅうはどんな人がタイプ? やっぱアレ、洗練された都会派がタイプ? この辺の
ユリカの物言いは乱暴だが、汐入の古くからの漁師の家系には老若問わず彼女の言うような者が多い。早く町を出たがっているのもそれが理由だろう。
「そうですね。田舎者とかは別に良いですけど。強いて言うなら、背が高くて、口下手だけど優しい人が良いです」
優しい目で微笑む美魚の言葉に、ユリカはわたしと同じ人物に思い当たったらしい。
「なんだ、海斗か。ブラコンは早めに直さないと、どんどんチャンス逃しちゃうよ!?」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884678835
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