第二章 冒険者ギルドと神々の遺産(アーティファクト)
第零話「プロローグ」
そこは暗い場所だった。
暗く、まるですべてのよどみが澱のように堆積した場所……。
人が足を決して踏み入れるべきでない場所……。
そこに、ひとりの男が立っていた。
灰色のロ-ブを頭からすっぽりと被り、見る者もいないその場所ですら、すべてからその身を隠すように……。
男の手には1本の錫杖が握られている。
禍々しいオーラを放ちながら、それでいて、その器物の本来の持つ神々しさを感じさせるように。
そして男は、やおら手に持った錫杖を地面へと突き立てた。
「とりあえず、これでちゃんと機能するはずなんだけどな。まぁ、ここまで入ってこられる人間はいないと思うけど、念のために保険はかけとくか」
男はそう言うと、いくつかの作業を行い、満足げに辺りを見渡した。
「さて、どうなるかね。あとは、騒ぎが始まってからのお楽しみって事かな。しかし、あいつ、人使いが荒すぎだろーがよぉ」
そう呟いた男の姿は、次の瞬間にはその場から消え失せていた。
先ほど男が突き立てた錫杖も、いつの間にかどこにも見つけることは出来なかった。
澱んだ空気が漂う空間には、先ほどと同じ静寂が戻っていた。
いや、先ほどまでと違うことが一つだけ……。
どこからともなく禍々しいオーラが溶け出し、その澱んだ空気と一体になって辺りに漂っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます