第52話SIDEサラ ワ国の拠点を押さえました
ワ国の商業ギルドは、木造漆喰建てが基本のワ国にあっては異端の煉瓦造りの建物です。
目立つからいいんだけどね・・・
商業ギルドに入り、空いている受付を探します。
ウサミミの
「いらっしゃいませ。筑前博多の商業ギルドへようこそ。
腐、腐、腐、腐、腐。テンションが上がります。
少々野暮ったい西洋風な制服なのがまたいい。
「店を1か月借りたい。今回は試験販売なので、賃料は金貨1枚以内で収めたいので立地に拘らない」
そういってアイテムボックスから審査官に見せた方解石のランタンを取り出しカウンターの上に置く。
先ほど魔力を通したのでランタンはキラキラと光を乱反射しています。
ついでに最近、商業ギルド側の色が黄から赤になったギルドガードを提示する。
冒険者ギルドのランクが白なのでなんだかめでたい。
「これを販売、ですか。解りました暫くお待ちください」
卯月くんがランタンを持って奥の机に座っている人のもとへ・・・って油ギッシュなオヤジが横から出て来て、ランタンを取った。
油ギッシュなオヤジはぼそぼそと呟きにんまりと笑う。
恐らく鑑定の呪文だかスキルで方解石の魔法灯の価値を鑑定というか査定したのでしょう。
「申し訳ありませんお客様。ここからはわたくし
目の前に立った田貫田が卑下た笑いを浮かべながら宣言する。
ちらりと隣りの受付を見ると、隣りの女性職員が苦い顔をしているのが判ります。
なるほど。目の前男は下っ端の旨そうな仕事を横取りするような男か。
「今日はもういいや。少年。また来るから書類作っといて」
卯月少年に声を掛けて席を立つ。
「あの」
「ん?ああ、用件は卯月くんに伝えたし、即答できるベテランに変わって貰うほど急いでいる訳じゃいないんだ」
軽い口調で断ると、田貫田の顔が真っ赤に染まっていきます。
「あんたがワ国の商業ギルドでどれだけ力があるのか知らないけど、喧嘩なら買うよ?」
脅した途端、田貫田の顔が赤からどす黒い赤色に変わります。
「あ、赤級の商人ごときが」
「あ?劉国の毘沙門、舐めてんのか?」
わざとらしく所属ファミリーの名を告げます。
商業ギルドに所属しているなら、隣国で短期間のうちに赤級まで駆けあがっているファミリーの名を・・・知らない様です。
困ったな。
「が、ぎゃー」
田貫田がいきなり悲鳴を上げて持ち上がります。
「ウチの職員が無礼を。申し訳ありません」
田貫田の頭を
顔の三分の二近くが濃い毛に覆われており、下の歯に鋭い牙が生えているのが特徴だ。
「わたし、筑前博多商業ギルドのギルドマスターで
「はい」
完全に裏返った声で卯月くんが返事をします。
「顧客を逃がすなよ?」
「は、はい」
「ということでお時間よろしいでしょうか」
武風雨は実に清々しい顔をする。
「1時間だけだよ」
そう言って席に座るのでした。
「サラさまがご要望される条件に合う貸店舗は住吉という海の神様を祀る建物の近くにあります」
卯月くんが広げられた街の地図を指さしながら説明してくれます。
彼が見つけてきた物件は、神社の近くにある、春と秋の祭。それと年末年始の参拝客を相手に縁起小物を売る小屋。
持ち主は閑散期であるいま店は閉めていて、縁起小物を作っている真っ最中。
支払いは前払いで、現金でもギルドカードでも支払いは可能。
また、滞在している間に売り上げたお金の100分の8を税金としてギルドに納める。
この契約は恵比寿さまという神さまの名のもとに契約が交わされるので脱税はほぼ不可能だということ。
「物件は明日見せて貰おう。あと、郊外でいいから、一軒家が建てられる土地の出物があれば見繕っておいてくれ」
「はい。承りました」
卯月くんは元気に返事をしてくるのでした。
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