空から吊り下げられる気分? 最悪ですよ!
ミリアーナ邸で凛汰郎が修行? に明け暮れている頃、アリアは空に浮かぶ空島の一つ《トゥオネラ》を訪れていた
この島には、古くから死んだ者達が成仏するまでの時を待つ空島と言い伝えがあるのだ
その為、多くの種族は死んだに会いに来る事から魂が還る場所と呼ばれている
そんな島にアリアは凛汰郎の指示により…とある人物に会いに来ていたのだ
カツンカツンとヒールを鳴らしながら道に沿って歩けば…辺りからは愛する者の死を哀しみ墓の前で啜り泣く声が聴こえてくる
この島での争いは全種族共通で暗黙の了解で禁じられている
その為、外では憎しみ合っていても島の中では共に死を嘆くのだ
そして、《トゥオネラ》の最深部…罪人の魂が眠ると言われる場所に着いたアリアは一人の男の背後に立ち話しかける
「やはりここにいましたか…【傲慢】」
墓石の代わりに立てた岩の前で手を合わせ供養している漆黒の翼を生やした大男、傲慢がそこにはいた
「何の用だ、再び我と汝等が合間見えるにはまだ早いと思っていたのだがな」
傲慢は立ち上がり、アリアを向くが…以前の様に戦闘態勢は取らず互いに敵意と殺意を押さえ込んで話を進める
「魔王様の用事のついでに近くに寄りましたので
「過去の幻影に囚われてたら後に待つのは哀しみだけです…それでは確かに」
その後、アリアはその場で一礼しその場から立ち去ろうとするが…傲慢はその姿を見送るのみだった
アリアがいなくなり、目の前の墓石と傲慢のみとなった場所には孤独感を思い知らされる冷たい風が吹き始める
「願う事すら許されぬ世に…何を思って生きれば良い…答えはひとつ…『死』だ」
「ならば我は思う、死と哀を選ぶのならば…我は『哀』を選ぶと……」
傲慢はそう呟くと、風に乗ってどこかへ消えていった、月が満ちる…その時まで…
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裏でシリアスな展開を繰り広げる中…
凛汰郎は足に縄を括り付けられ、人生初のバンジージャンプをしていた
「何でこんな目に合わなきゃならないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
凛汰郎の手にはルービックキューブを持たされており、六面全ての色を合わせなければずっと地上には降りれない
その上、ルービックキューブを落とせば縄を持っているシャルがグルングルンと凛汰郎共振り回して酔わせてくるのだ
ミリアーナ曰く、例え強い力を持っていても実践で生かせるかは強靭な精神力と…それを相手に命中させる集中力が必要だ
バンジーで常に精神力を鍛えながら、ルービックキューブを揃える集中力を鍛える正に画期的な修行法らしい……
「だからって…ざっけんな!!」
「ただでさえ俺はこういう頭脳系の玩具は苦手なんだよ!!!」
凛汰郎はしかめっ面を浮かばせながら、何とかルービックキューブを一面ずつ揃えるが…途中で落としてしまい酔う
「シャルゥゥゥ!! 後で覚えとけ…オロロロロロ」
このループが累計23回繰り返された後に凛汰郎は解放されたのであった……
「はぁ…はぁ…うっぷ…まだ気持ち悪い…」
久方ぶりに地面の感傷に浸る凛汰郎に対しミリアーナは一言囁く
「酔いが覚めましたら街を出た場所にある《リブレント草原》に来なさい、そこで最終試練を行いますわ」
ミリアーナはそう言って自分も草原に向かおうと背を向けた時…何故かその表情は寂しそうな顔をしていた
「魔王ちゃん、大丈夫?」
シャルがノコノコとやってきた様だ
凛汰郎はすかさず起き上がり、シャルの首と足を掴んで肩の辺りで逆V字に曲げる
「フハハハハハァ!! お前にも俺が食らった苦痛を味わってもらうぞシャルゥゥゥ!!」
ギリギリと鈍い音を出しながらシャルの背骨を曲げる凛汰郎の姿をたまたま帰っていたアリアは、後にこう語った
――あれは…とても気持ち良さそうでした
「いたのかアリア、それで例のアレは手に入ったか?」
凛汰郎はシャルを放り投げ、アリアの所に行き例のアレを見に行くと…アリアの手には確かにそのアレを持っていた
「そうそう、これなら問題ない筈だ」
「頼んでおいた事も終わらせたか?」
「はい、現段階までは問題なく事を進められております…後は魔王様次第でございます」
アリアは片膝をついて頭を下げていると、背後から起き上がったシャルが心配そうに声をかけてくる
「でもさぁ? 先にそれ進めてて良いの?」
「まだ傲慢ちゃんに勝てるかわからないのに…負けちゃったら全部無駄になるよ?」
シャルがそう言うと同時に、アリアからどす黒いオーラが吹き出し、その視線は全てを見通すと錯覚させる程に力強くなる
「痴れ者が、魔王様が負けるとでも言うのですか? 魔王様は超越種であり絶対の支配者です、負ける事など世界が裏返されてもありえない事実です」
久しぶりに見る《
凛汰郎はアリアの頭に一撃食らわせて黙らせる事にする
「まぁ、シャルの言う事は間違ってはないからな…後々の事をマイナスに考えてしまうのは至極当然の事だ」
「ただ…一つ間違ってる事がある」
「【負けると思って闘うのは駄目だ】常に思い描くのは勝利のイメージだ…と偉大なる先人達は言ってる」
「心配すんな、俺は負けねぇから」
凛汰郎はそう力強く言い、ミリアーナからの最後の修行を受けに向かった
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