第52話
上条と桜井は雅美の目を見た。
その目はコンタクトと同じく灰色をしていた。
灰色の目に灰色のコンタクトを重ねて、黒く見せていたのだ。
――なんてこった。
見つからないんじゃないかと思っていた巫女が、今目の前にいる。
それも上条が恋焦がれている雅美だなんて。
神社の家系でしかもオッドアイ。
おまけにご先祖様があの化け物を封印している。
これ以上ないくらいに、条件にぴったりだ。
しかし上条の心は、巫女が見つかる前よりも曇っていた。
吸鬼を封印するには、巫女も一緒に封じ込めなければならない。
そんなことは考えるのも嫌だ。
しかしそのままでも、雅美はやがて吸鬼に命と魂を吸い尽くされることになるだろう。
――いったい、どうすればいいんだ?
自分でもわけがわからなくなるほど悩む上条を無視するかのように、桜井が雅美に聞いた。
「雅美ちゃん、聞きたいことがあるんだけど」
「えっ、なに?」
「雅美ちゃんって、処女なの?」
「!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます