第37話

○ 吸鬼には弱点がある。


――!


上条はその先をざっと読んでみたが、どうやら吸鬼の弱点について書かれているところはないようだった。


「おい、弱点って、なんだ?」


「あいつを倒すために必要なものだよ。それについては簡単に用意できるものではないんだ。だからあえてそこには書かなかった。僕の頭の中にはあるけどね。もちろん、そのノートの中にも」


「なんだよ。判っているんなら、わざわざ隠さなくてもいいだろう。教えてくれよ」


「上条の性格は、本人よりも僕のほうがよくわかっている。断言しよう。上条は思い込みが激しいところがあるんだ。一つのことに気をとられると、他のことがおろそかになるという傾向が、大いにある。今は吸鬼を倒すことよりも封印することに全力を注ぐべきだ。したがって吸鬼の弱点は、上条には教えないことにしたよ」


「おい、そんなことって」


「この件に関しては、抗議は一切受け付けない」


「……まったく」


上条は続きを読んだ。


○ 吸鬼を封印するには、封魔の印が必要である。


「あの、お札のことだな」


「そうだよ」


○ 吸鬼を導くには巫女が必要である。


○ 巫女は神社の家系の若い処女でなければならない。


○ 巫女は左右の目の色が違っていなければならない。

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