第29話

「いいですよ。一枚ですか」


「今何枚ありますか?」


「三十枚ほどですが」


「それ全部ください」


「ええっ!」



邪封の印はただではなかった。


貧乏大学生にととってはかなりの出費となったが、仕方がない。


礼を言い、車に乗り込む。


下宿に帰ったときには、すっかり夜となっていた。


「明日は朝一に食堂でね」


桜井はそう言うと、帰った。


――なんだか疲れたな。


上条は思った。


でもお札は手に入った。


これでやつを封印することが出来る。


しかし問題は山積みだ。


まず、やつは今どこに居るのか。


そしてどうやってやつを洞窟まで呼び寄せるのか。


そしていったいどんな手を使って、お札を貼り、入口を塞ぐまでやつをおとなしくさせるのか。


――それよりも……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る