第25話


「その封印したい奴を、巫女が足止めしてたんじゃないのか」


「上条の言うとおりだ。方法まではわからないけど、お札を貼り入口を塞ぐまで、巫女がその何かを洞窟内に留めておいたんだ。だから巫女は外に出ることが出来ずに、一緒に洞窟に封じこまれてしまったんだ」


「そうなると……」


「そう。巫女は最初から死ぬ気だったんだろうね」


上条が言った。


「すごいな。死ぬ覚悟で、その得体の知れないものとこの洞窟に残るなんて」


「そうか。それはほんとすごいと思うぜ。で、その巫女さん、美人だったらいいのにな」


――巫女が美人だろうが不細工だろうが、木本に関係ないだろう。


上条は思った。


桜井は苦笑いしている。


「で、これ以上なにか探すもん、あんのかよ」


「今日のところはこれくらいでいいかな。何かあればまた来ればいいと思うよ」


「それじゃあこんな辛気臭いところ、さっさと出ようぜ」


言い終わらないうちに、木本はすたすたと洞窟から出て行ってしまった。


二人が後を追う。


外に出て車に乗ったところで、木本が言った。


「なんか、首が痛てえ」



病院に行き、CTスキャンまで撮ったが、何処にも異常は見られなかった。


「でもほんとに、首が痛てえんだよ。それもかなり」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る