第15話

「夏休みの間に、調べられるだけ調べておこう。でも出来るなら、帰郷を早めに切り上げて、こっちに来てくれると助かるんだけどね」


「わかった、そうするぜ」


「そうしよう」


「でもよう桜井、調べてもよくわかんなかった場合は、どうするんだ」


桜井は一息つき、言った。


「その時は、この講座を辞めるべきだね。あの三人みたいになりたくないのなら」


「うん、そうだな。それがいい。そうしよう」


「そうするか」


二人がそう言っている間、桜井はとても小さく呟いた。


「それで万事解決するなら、いいんだけど」



そして八月に入ったばかり、新学期まで一ヶ月のある日、桜井から緊急の徴集がかかった。


「なるべく早く帰ってこい」


と。



いかぶる親を説得し、次の日の昼には学食にいた。


夏休みでも大学は開いており、食堂も働いているおばさんの数は減っているが、メニューなどは通常営業していた。


夏休みでも夏期講習や、大学院生の一部など、学校に来ている学生はそれなりにいるからだ。


もちろん一部の教授連中もうろうろしている。



待っていると木本がやって来た。


「うっす。桜井はまだか」


「まだだな。待っていてくれと連絡はあったが」

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