第4話
「犬田君、どうしたのかしら?」
七人の中では唯一雅美が心配していたが、雅美が犬田に対して異性としての特別な感情があるわけではないことは、誰が見ても明らかだった。
それでも心配してしまうのが雅美という女の子なのだが。
――本当にいい子だなあ。
上条は、真亜矢に軽い殺意を覚えたものだ。
いつものことだが。
次の週も犬田は来なかった。
「犬田君はどうしたのかな。この中で知っている者はいるか?」
犬田と親しい者など、少なくともここには誰もいない。
したがってみなが教授の質問に対して正直に「知らない」と答えた。
「そうか。これ以上休んだら、あいつ、単位が取れなくなるぞ」
それに対してなにか言う者は誰もいなかった。
どうでもいいことだから。
雅美一人をのぞいて。
教授が「これ以上休んだら単位が取れなくなる」とか言っていたな」
食堂で木本が言った。上条が答える。
「ああ。確かにそう言ったが、それがどうかしたか」
「と言うことは、三回休むと単位が取れなくなると言うことか?」
「それはわからんなあ。三回連続がだめなのかもしれないし」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます