第259話フラグ

「でも、弟みたいだと言われたしなあ」


俺はこの陰陽師を可愛い先輩だと思っている。


だが先輩のほうは、俺を男としてあまり意識していなそう。


「そんなものだし、ボクは無理に結婚を考えるのはよくないと思うね」


「わたくしも同じです」


2人が便乗してくる。


「けど、よしかと一番接点があるのが一樹はんや。ウチとしては、ほかに候補はいないと思っとる」


「そんなものかね?」


そもそもだが、俺は誰か一人を選ぶ気ないんだけど。


「よくあるやろ? 戦争に行く前に結婚の約束をするって話。2人も恋人岬で結婚の約束をしたらええ」


「それは絶対死亡フラグだから」


先輩の命を救いたいんじゃなかった?


そもそもだが、”海賊”に邪魔されたので、先輩は旅立たてないし。


「というわけで、はよ結婚してくれ。そうしとけば、よしかに死亡フラグが立つことはないはずや」


期待するような目で見てくる。


「勝手に話を進めていますが、今のところ私は一樹君と結婚する気はありません」


今まで黙っていた先輩が口を開いた。


「どうしてや? 人生のパートナーを見つければ、その分周囲からの評価は上がるで」


当主としての仕事はつらく、決断しないといけないことは多い。


それを支えるのが婿の役目であるし、結婚して一人前って風潮だって残っているらしい。


ゆえに、祖母の後継者を目指す先輩には、結婚が大きなアドバンテージになるわけだ。


「私にもプライドがあるからです。自分を売ってまで当主になりたいとは思いません」

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