第239話偏見

結局のところ、誰と相部屋になるのか決まらなかった。


どこかの一族が得することを、ほかの美少女は認める気がない。


誰かが俺の子を妊娠するなど、論外なのだろう。


今更ながら、俺のマナ適性は恐ろしいものである。


自分の才能に振り回されている、悲劇の主人公なのか?


そんなわけで、俺は部屋を1人で使うことになった。


お金を出してくれたロリ先輩には、サラさん及び桜子と相部屋になってもらう。


俺が発端とも言えるので、先輩には謝っておいた。


残りの部屋を、サーシャとオリヴィアが使う。


「しかし、本当に何もないと思えないんだよね」


俺は部屋のベッドに寝っ転がっている。


偏見かもしれないが、夜這いくらい平気でやりそうな連中だもの。


朝まで安全である保障は、どこにもないのだ。


不安であることと、慣れないベットであることで、なかなか寝付けない。


そんな時、ドアを叩くような音が聞こえた。


「一樹、ボクだよ。開けて」


「偏見じゃなかったな」


しみじみと一人つぶやく。


予想通り過ぎるやつだ。


「悪いが自分の部屋に戻ってくれ」


ベットから降り、扉越しに苦言を伝える。


「ええ? まだ何も言ってないよ」


嫁の困惑した声が聞こえる。


「聞かなくても大体分かる。俺はまだパパになる気ないぞ」


「それは偏見だよ。少しお話をしたいだけさ」


「本当かな?」


実にウソっぽい。


「まあいいや。少し話したら、すぐ戻ってくれよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る