第155話母親

「早かったですね。まさか翌日に返事に来るなんて」


覚悟を決め、先輩のガレージに出向いた。


「それを答える前に言いたいことがあるけどいいですよね?」


「もちろんです」


「先輩は何故、後継者に選ばれていないか分かりますか?」


「今更ですね。私が火属性魔法しか使えない、欠陥魔女だからでしょ?」


「本当にそう思ってるんですか? 先輩の家族について、調べさせてもらいましたよ。母親について」


先輩は一瞬、面食らったような顔をした。


「体が弱かったので、私を生むだけで精いっぱいだったと聞いています。今は療養中ですね」


使う魔法に耐えきれない先輩の母は、一族の中でも嫌われているらしい。


「先輩を産めなかったら、追放されていた可能性だってある」


「ええ。それだけ重い血なんです。一樹君にはピンとこないかもしれませんが。それと答えが、どう関係あるというんですか?」


「学園長は先輩がお母さんのために、無理をしていると気がついてるってことですよ」


「当然の行為じゃないですか? お母さんが残せたのは、私だけなんですよ」

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