第105話秘薬
ついに会えた。
それがキミを見て、最初に抱いた感想だよ。
出会えてよかった。
いや、本当は会わない方が良かったんだよ。
こんな血筋だからね。
でも、もう運命は動き出した。
サイコロは振られたんだ。
どんな目がでるかは神様しだい。
だけど、ここでキミは終わるような男じゃないはずだ。
その運命には、抵抗しよう。
さあ、ボクの一族に伝わる薬をどうぞ。
内出血のようだし、魔女の軟膏は使えないね。
だったら、こっちの飲み薬。
意識がないようだね。
なら、ボクが直接飲ませてあげる。
これぐらい、許されるよね?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お、お姉さま?」
「お前、何をしているんだ?」
「何って、薬を飲ませただけだよ。魔女の作った魔法の薬をね」
誤解している2人に呆れながら、ボクことオリヴィアは説明する。
「意識がないんじゃ、口移しにするしかないでしょ?」
何秒かは計ってないけど、ボクたちが口づけしていたのは、れっきとした事実だが。
「マナ結晶とそれを体内で活用しやすくする触媒のハイブリッド。ボクの一族が長く使って研鑽していた薬だからね。それなりの効果はあると思うよ」
「森の中で採取した触媒か?」
「そう。詳しくは教えれないけど」
今はそんなことを、考えている場合じゃないんじゃないかな?
「早く安全な場所へ一樹を運ぼう」
「あ、ああ」
「そうですね」
「じゃ、サーシャ。二人で運ぶよ」
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