第43話真相

「これは、国同士の対立なのよ」


「対立、ですか?」


2人してデートした町から、基地に戻る


俺の帰りを待っていた佐伯さんが言った。


「うん、そう」


 どういう意味なのだろう?


「簡単な話よ。AAというのは、国家バランスを覆す可能性がるもの。これからはAAが戦場の主役になっていくと思うわね」


「主役ですか?」

 

異世界化の対処に使われている、あの機体が。


「今は異世界化という、人類共通の課題がある。先進国だって、その被害を受けたのだから」


「それは分かります」


サーシャのような虎児もいるし。


「だが、それがいつまでも続く保証はないのよ」


「異世界化が終わるということですか?」


「そう。そうなると何が残る?」


うーん


「異世界化した土地は消えるけど、AAを含めた、マナ技術は消えないで残る。そういうことですか?」


「正解。だから、困っているのよ。今はマナが多い異世界化した土地でしか、AAは力を発揮できない。だが、これは時代の問題でしょうね」


「技術争いが起こっている」


 国をあげて、追い越せ追い抜け。


そんな事情が。


 「ああ、だから各国とも、AAの最新データーが欲しいのよ。日本が新型機を開発したのは、異世界化の対処よりも、技術を手に入れるためのほうが大きい。マナが日常的に使われるような時代が来るかもしれないしね。そうじゃなくてもAAのフレームや機体を動かすための制御ソフトは、最新技術の塊だから」


「俺はそんなものに巻き込まれていたんですね」


 どうりで高い給料がもらえるわけだよ。


 今更だが納得した。


 国家防衛のためだからな。


「テスターを辞める?」


 佐伯さんがちょっと悲しそうに言う。


「いえ、続けさせてください」


 俺はサーシャと向かい合いたい。


 ハーレムとか関係なくな。


「あの娘のためになりたいんです」


 彼女の抱えているものを肩代わりしたい。


 それができなくても支えぐらいに。


「よく言った」


 彼女の手が俺の頭をなでる。


「子供じゃないのでやめてください」


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