第13話 2学期

夏休みも終わり2学期がやってきた。


先生

今日から2学期だ!そろそろ、婚約にむけての心構えも必要になってくるぞ。それと同時に進学する者は勉学にもいっそう励むように。



2学期かぁ。いろいろ考えちゃうなぁ。


おい、あれ先約済みのネームだよ。

深瀬真美。怖い者知らずがいたもんだなー。コソコソ話す男子。


聞こえてるわ。殴ってやろうか下衆ども。

睨む真美。


ハッ!汗 睨みに気づく男たち。

あー、次移動教室だー。汗

行こうぜー。汗汗

目を合わせずに逃げていく下衆ども。


め「真美ー。移動だよ行こう。あんなの気にしない気にしない」

ま「気にしてないけど!」だいぶキレてる。



教室を移動する2人。


め「あ、平佑介。相変わらず選んで欲しそう女子に囲まれてんなー。」

ま「ホントだ。あいつの裏の顔も知らずに」ボソッ。



ゆ「お、俺トイレ行くから先に教室行ってて」爽やかーな笑顔の佑介。


なんだあの笑顔!寒気がする。

ゆ「よお。おまえ今なんか思ってたろ。

あれ?先約済みじゃん!誰だよ物好きはー!うけるー!」

ドガッ!

「うっ!イッテ。お前グーパンはないだろ」

腹を抱える佑介。

ま「うっさいんだよ。バーカ!物好きさんが聞いたら傷つくだろ!」

ゆ「はいはい。でも…お前は傷つかねーの?さっきすれ違った奴らがお前の事言ってたけど」

真面目な顔をする佑介。


ま「慣れてるし」少し悲しそう。

ゆ「無理すんなって。グーパンは全部俺が受け止めてやるから。親友だろ…。じゃーな」

頭をポンポンして、教室に戻る佑介。

顔を真っ赤にしてる真美。


隣のめぐはポカーン。とした顔をして一部始終を見ていた。

め「ねえ、平佑介ってあんなキャラなの?てか、なんで仲いいの?てか、かっこよくない?ヤバくない?俺が受け止めてやるって!なにそれー!真美が殴りたいの我慢してるのわかってわざと怒らせるようなこと言って自分殴らせたの??マジか。男前過ぎるわー」

キャッキャッ❤︎

1人妄想が止まらないめぐ。


殴らせてくれたの?殴れば少し気が晴れると思って?……てか、どんだけ暴力女だと思われてんだよ!!

でも…スッキリしたぁ。


ま「いいから、行くぞ!ほら!」

別の教室に移動する2人。

その様子を後ろから見ていた圭人。


そして、斎藤桃華。

ずいぶん仲よさそうね。あの女早々に潰しとこうかしら…。



〜圭人の部屋〜

圭「ここが、こうで、こうなります」

ま「なるほど!圭くん教えるの上手い!わかりやすい!でも、自分の勉強しなくて大丈夫?」困り顔の真美。


にっこり笑う圭人。

「大丈夫ですよ。復習にもなりますから」


「ありがとう…。優しいね。でも、自分のこと優先して!私、足手まといにはなりたくないから!」焦りながら話す。


「大丈夫ですよ。真美さんだって自分のことより僕に気使ってくれたじゃないですか」


「え…もしかして…今日の事?見てたんだ…。暴力女でビックリしたでしょ?汗」

きっと嫌われちゃうな…。


「あ、まぁ。でも、口が悪いことも全部知ってましたから。ずっと見てたんで…」真面目な顔をする圭人。


びっくりする真美。

「え?いつから!?」


「2年で同じクラスになったとき、消しゴムを拾ってくれた時からです。それから、プリントを後ろの席に配る度にあなたの横顔を見るのが日課になり、それから目で追うようになりました…」


「そ、そうなの?もしかして、隣の列の1番前だった??」

なんとなく消しゴム拾っだ記憶はある。


「真美さんが、なぜ窓の外を眺めていたのかも。その目に誰が映っていたのかも知っていました…」切なそうな笑顔を向ける。


顔が赤くなる真美。

「だ、誰も映ってないよ!外を眺めるのが好きだっただけだよ」焦る。


「そうですか」優しく微笑む圭人。


なんか、今日は気まずいなぁ。

「今日はもう寝るね。おやすみ」

そそくさとベッドへ入る真美。



佑介の部屋


「またあんたかよ。親にも頼んですげーな」

機嫌が悪い佑介。


「別に頼んだわけじゃないわ。提案しただけよ。私が平家に入ればお父様の会社も安泰ですわってね。わたし、小さい頃から自分の思い通りに全てが進んできたの。思い通りにならないことはなかったわ。でも、今あなたが思い通りに動いてくれなくて残念だわ。だから、少し待つことにしたわ。あなたの心が動くまで…」笑う桃華。


「はぁ?いつまで待たれても政略結婚はごめんだ。あんたを好きになることもない!」

呆れる佑介。


「そうかしら…。クスクス」

怪しげな笑みを浮かべる真美。



そして、6日後。

クール最終日の夜


圭人の部屋


なんか、気まずくなって今週はあまり話せなかったなぁ。

「真美さん。僕のこと嫌になりました?

あまり、話してくれないので…。やっぱりストーカーみだいですよね。僕…」

悲しげな顔をする


「ち、違うよ!嫌になったりしてない!ただ、どんな顔して圭くんを見ればいいかわからなくなって…」目を見れない真美。


「なら良かった。嫌われたのかと思いました…。それだけ聞きたかったんです」

ホッとしたようで少し切なそうな様子で勉強を始める。


ふと、何かをおもったのかまた話し出す圭人「…僕も助けたかったです。でも、僕なんかが出しゃばって!また真美さんが悪く言われるかと思うと…できませんでした…」


ドキッ。その言葉の中の悲しさが真美の心に響く。


ギュッ。机に向かう圭人の後ろから抱きしめる真美。

「自分のことそんな風に思わないで。だって、すごく頭いいし、こんなに優しいのに、誰が圭くんのこと悪く言うの?」

泣きそうな声…


ギュッとされた手を握る圭人。

「それを言うなら真美さんもです。自分のこと悪く言い過ぎです。優しいし、おもしろいし、他人の事を思えるステキな人です」

真美の手をほどきクルッと向きを変え、真美を見る圭人。


「僕は真美さんの目好きです。キレイな目だと思いますよ」真美をしっかり見つめる。


恥ずかしくて、逃げようとする真美の手をギュと自分の方へ引いて抱き寄せる。

ドキンドキン。胸の音が聞こえる。


静まり返った部屋で2人の胸の音だけが響くのでした。











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