お題『人形』/手に入れるには

彼女は日本人形とも西洋人形ビスクドールとも違う、「ドール」。艶々の黒髪に紫が施された黒い瞳。笑うと優しい光を浮かべる。彼女の隣に相応しくないあの子に。

移動教室で別れた瞬間を狙って腕を掴んだ。

「私といなよ。あなたに似合う喫茶店へ連れてってあげる」

彼女は眉をひそめ、低く言った。

「私は誰にでも抱かれるお人形さんじゃない。触れる人を選ぶの。あなたじゃない、離して」

「あの子のどこがいいの」

「この外見はあなたのものにならない、あなたのステータス上げに興味ない。誰も他人を所有できない」

振り払われ、階段を降りる背中にかっとなり壊れてしまえと



彼女の下敷きになったのは戻ってきたあの子。ふたりの絆はより強固に。私が、とどめを、

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る