大島サイクル営業中 設定集

京丁椎

藤樹商店街の小さな自転車店・歴代店主・店主の家族

大石サイクル 大石久信

 大石おおいし 久信ひさのぶ 故人


 名前の由来は作者が通っていた滋賀県大津市に有った模型店の店主より(現在は閉店)見た目もその店主のイメージ。


 大島サイクルの前身、大石サイクル店主。主人公(現大島サイクル店主・大島)の師匠。自転車販売・修理をしながら日本のバイクを黎明期から見てきた職人。スーパーカブ登場時に試乗して感動して取り扱いを始めた。


「これは時代を超えるバイクや!」

「煙も吐かず燃費も良い。月まででも走れそうや」(大石)


 それ以来、ホンダ横型エンジンに惚れ込みチューニングにのめり込む。当時のバイクは高額商品。壊れると信用にかかわるので丁寧・正確な組み付けをして軽やかに回るエンジンを組んでいた。


「あいつの修理したカブは新車より馬力が有る」(当時の客)


 琵琶湖湖岸に在ったサーキットでのミニバイクレースで大石が改造したエンジンを搭載したモンキーは好成績を残した。自身もレースにスポット参戦していた。ゼッケンナンバーは⑤


「何で⑤にこだわってたんかなぁ?」(大島)

「大石→おおいし→0014→0+0+1+4=5→⑤やから」(大石)


何人なんぴとたりとも俺の弄ったバイクは抜かせない」(大石)


 初めて店を訪れた客を質問攻めするので有名だった。どの様に使うか・どこを走るか・何を求めるか……等々、細かな事まで聞いたのは要望通りのバイクにしたいからだった。


「予算は? どんな風に使う? 二人乗りするんか?……条件を聞こうか」(大石)


 理恵と数日間過ごしたことが有る(百二十一~百二十五話)理恵からの手紙で何とか大島の未来を良い物に変えようとしたが、理恵も詳しくは知らなかったので変える事が出来なかった模様。


「理恵坊よぅ、時間と場所が解らんから変えられんかったよ」(大石)


 オークションで高値が付いているお宝部品を遺すのが精一杯だった。


 高嶋高校へ通う生徒のバイクを改造し始めたのは昭和末期から。怪我をして思う様に自転車に乗れなくなった主人公・大島にカブ系エンジンの事を教えた。


 平成も数年が過ぎた頃、体の不調で店を閉めることが多くなる。体力に限界を感じて店をたたむ事を考えていた。その頃、常連の大島が工場の倒産により失業。その後別の仕事に就くが、婚約者を無くしてから仕事を辞めて放浪の旅に出た。戻ってきた後もブラブラしていた大島に大石サイクル丸ごとを買う事を勧めた。


 数か月間、全てを大島に引継ぎした後に隠居。隠居後は海が見える老人ホームで過ごしていた。郵便局のカブや職員が乗ってくるカブを目を細くして見ていたそうだ。最期の言葉は「やはり時代を超えたか」郵便カブのエンジン音を聞きながらこの世を去った。

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