独りよがりの詩

小説初心者

第1話「倦怠」

逢瀬を重ねた男女がいよいよ褥に行き詰った夜。

(男は色黒の土作人で、女は仄白いの青物売りで有ったのだが。)

彼らはさもしい灯篭の明かりの中に、砕かれた石の如く臥せっていた。

(両人、溜息の一つもなく、そこに有る動向は炎の唸りだけで。)

彼らは夏夜の嫌な湿気に口説かれつつ、一夜の永きを知った。

(彼等の天上では、夜が星を擂り潰しつつある。)




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