11。 ぐーたら精霊王
11。 ぐーたら精霊王
「あー」
ルシルとの会話が一区切りがつき我は適当にぐーたらしていた。
このまま無駄にぐーたらしてても仕方がないし、何かするかー。
しばらく、ぐーたらしていた我はそう考えた。
我は目線を動かして部屋の中を見る。
部屋に隅に積まれた幾つかのロボットのプラモデルと、まだ読んでない漫画と小説が目に入った。
うーん。
今はプラモを作る気は起きないなぁ。
だからといって新しい漫画と小説もなー。
なんか今は続きを読むのが怖いっていう微妙な感じだ。
次に読み終わった漫画と小説がある本棚が目に入る。
何か読み返すかー?
積んである漫画と小説の前巻まで読むのはどうだろう。
……中々に良い案だ。
候補1だな。
次に机の上のパソコンを見る。
パソコンかー。
パソコンはYou Pipeや5252動画(船橋)略して52動を見るくらいかな?
それも悪くないなー。
……よし決めた。
とりあえず動画サイトを見て気になるのがあったら再生して、その後に時間があったら漫画か小説を読み直そう。
そう決めた我はベッドから起き上がり、机の前に移動して座った。
『パソコンを使うのですか?』
すると、ルシルがそう言ってきた。
「ああうん。 動画でも見ようかと思って」
そこでまたふと気になる事が。
聞いてみよう。
「ルシルってパソコン知ってんの?」
『知ってますよ。 まぁ使ったことはありませんが』
あぁやっぱりそうなんだ。
そりゃ精霊がパソコンなんて使わないわな。
『ただ、パソコンくらいならこの玉精霊たちも知っていると思いますよ』
「え、マジ?」
『ええ。 精霊は生まれる時にある程度の常識を周囲から吸収しますし、それにこの子たちはしぜん様から魔力を与えられて成長した際に多少の知識も与えられていますから。 まぁ本当に多少ですがね』
マジかー。
気になったので玉精霊たちに聞いてみる。
「お前らパソコンって知ってるか?」
『しってるー』『きーぼーど』『かたかた』『でぃすぷれい』『いんたーねっと』『じょうほうつーる』
すると、玉精霊たちは口々にそう答えた。
我はかなり驚いた。
マジかよ。
パソコン知ってるのか玉精霊たち。
精霊すげえな。
精霊にも近代化の波が?
『まぁ風の精霊は精霊の中でも情報収集に長けてますからね。 やろうと思えば遠くの音を風で引き寄せたりとか、色々出来ます』
風の精霊やべー。
マジで精霊ってすげえな。
『それよりパソコンはいいんですか?』
「お、おう」
精霊に驚いているとルシルにそう言われたので、我は気を取り直してパソコンの電源を入れた。
パソコンの画面にロゴが映る。
それから五分間くらい起動するパソコンを待っていると周りで見ていた玉精霊たちが待つのを飽きだす。
『このパソコンはまだ使えないのですか?』
ルシルも気になったようで我に聞いてきた。
「まぁこのパソコンも古いからなー。 どうしても時間が掛かるんだよ」
『ふるい』『ろうじん?』『ぜんじだい』『ぽんこつ』
玉精霊たちが好き勝手言うのを聞いて微妙に笑いそうになる。
『新しいパソコンを持ってきましょうか?』
「え? どゆこと?」
なんだ?
ルシルは新しいパソコン持ってんのか?
『そこら辺の店の倉庫から人間に気付かれずに持ってこれますよ』
あぁそういう事か。
精霊なら簡単だろうな。
まぁ我は極悪人だから、それでも良いんだけど。
「やめとく。 使ってて後で気になるだろうし、人間にも後で気付かれるだろうしな。 ……それに」
『それに?』
「このパソコンさ。 もう随分使ってて愛着があるんだ。 出来れば壊れるまで使っていたいんだよね」
『そうですか』
ルシルの表情は分からないけど、何だか今は笑っている気がした。
なんでだろ?
……まぁいいか。
「それよりルシル見てて思ったんだけど、精霊って人間のこと大して重要に考えてないのか?」
『そうですね。 精霊から見たら人間なんて大して存在ではないですから。 精霊のように力がある訳ではないですし』
そりゃそうだろうな。
まだ少ししか知らないけど、精霊ってすごいもんな。
『なので基本的に精霊は人間を気にしません。 私はまだ普通の方ですよ』
「そうなの?」
『はい。 人間を嫌っている精霊も居ますしね。 まぁ中には好き好んで人間に関わろうとする精霊も居ますが』
ふーん。
精霊って色々いるんだな。
これから大変そうだ。
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