2-8
マリシアスはアリアを連れて、持ち込んだ
アリアも「魔弾の射手」と呼ばれる射撃武器は父の兵士達が所有しており、馬の代わりと呼ばれる2輪の「
「どお?凄いでしょ、でも機能の大部分は壊れていて使えないんだ。でもちゃんと走るし馬よりも力が有る。エサはチョット変わってるけどね。」
「僕の家は遠いし、道中危険な所があるけど、まあこれのお陰で無事にここまでこれたって所かな。」
マリシアスは何気ない部分も含め、
だがこれは異常な事だ。いかに招待客とは言え、亜人社会ではまだ新兵器に等しい
先生、いやその前に
だがマリシアスはアリアに迫られ断れなかった、、、
「あの、お取り込み中申し訳ないんだけどチョット良いかしら?」
アリアは自宅の庭園で戯れる「客達?」に声を掛ける。その声音には不機嫌の響きがあった。
彼女の声に、主が悪戯を咎め、家臣が許しを請う「遊び」に没頭していた「客達?」が彼女に振り向いた。
「・・・・」
マリシアスはベンチにもたれてギークを抱かかえた状態で、二人揃ってアリアを見る。
「、、、、」
ベンチから少し離れた一段上がった庭のアーチの傍に立ち、腕を組んでコチラを見下ろす「竜の血筋」の少女。その視線にマリシアスは、「ちょっと他人の家で何やっての?あんた達!」と言うメッセージを読み取った。
「・・・・」
「、、、、」
「????」
しばし沈黙で見詰め合う3人、先に口を開いたのはこの少女の正体を悟り、事態に緊張したマリシアスだった。
「こ、この御庭、と、とても素敵ですね、、、、」
この気まずい雰囲気を何とかしなければ、マリシアスはまず先方のご機嫌を取ろうと話題を振った。
「、、、、」
「竜の血筋」の少女の攻撃的で刺さるような視線に変化は無い。
「!?」
しかも何やら手で握っているのは、、、き、「牙」じゃないか!!
え?ウソ!!使えるの?そんな訳ない、、、僕まだ無理!!
いや、侮ってはいけない、何事も「早い子」は早い!ああそうだ、肝心な事を忘れていた!
マリシアスは抱えていた
「ま、マリシアス・ゲラールと申します。東にあるレゼルタールと呼ばれる辺境から参りました。「焼け野原の竜伯」ドーサン・ゲラールの息子に御座います。」
「この度は「頂城」城主、轟竜オルダナ・フィルデル公爵様にお招き頂き恐悦至極に存じます。」
人族と違い、亜人の社会に王を名乗る者は居ない、それは唯一「力の神」のみが眷属の与える称号だからだ。「代理戦争」の亜人社会には、爵位を授与する立場の者は居ない、皆それぞれ勝手に称号名乗っている。だがアリアの父にしても、オライン伯爵にしても実力を示し、財を蓄え、名を轟かせ周囲に認めさせ、認められているのだ。
暫く待った反応が無い、マリシアスは片目を開けてチラリと「竜の血筋」の少女を伺う。
「竜の血筋」の少女は腕組みを解いて微笑んだ。少女は階段を下りてベンチまで近づいて来る。
マリシアスはホッと一安心した。立ち上がって姿勢を正し、近づいて来る城主の娘に教えられた通りの「淑女への礼」を取るべく相手を待つ。
彼女の右手が動いた、差し出された手を取るべく自身も手を出そうとした時だ。
パン!!
マリシアスは左頬に衝撃と、そして目から火が出るような感覚。そして不意を喰らったせいでよろけたが、何とか踏みとどまった。遅れて左頬に腫れる感覚とジワジワとした痛みがやって来る。
怒りよりも前に驚きが先だった、マリシアスは少女の顔を見る。清々しい眼差しで彼女はマリシアスを視ていた。
ああ、
彼は彼女のが何を望んでいるのか合点がいった。気が付かなかったが経緯を考えれば推測が付く、そして相手がいかに寛容であるかも。
またやった、いつもこうだ。
自身に失笑しつつも、思っていたよりも以外であり、安堵もあり、そして興味も湧いた。
マリシアスはどのような態度、言葉を選ぶか考えたが、、、
誠心誠意
少なくとも目の前の「寛容」に示す態度を、彼はそれ以外に思いつかなかった。
「ごめんなさい!お騒がせしました!!」
マリシアスはまだ微かに違和感が残る赤く腫れた左頬の感触を手で触って確かめながら、目の前の
「・・・・」
この娘が僕の花嫁?
それとも僕があの子の花婿なのかな?
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