そこは、とっても敏感なので
思えば、よくケガをする子供だった。
好奇心が旺盛過ぎて、親がちょっと目を離すと直ぐ迷子になるほどの、落ち着きのなさ。好き勝手に動き回っては、転んだり、高い所から転げ落ちたりして、うわああん、と大声を上げて泣いているところを発見される……なんてことは日常茶飯事だった。
大人になって少しは落ち着いたはずなのだが、アメリカに移住して以来、ケガをする頻度が以前より多くなった。
「なんでやろうなあ」
首を傾げる私に、相方がさらりと言ってのける。
「キミの場合、無駄な動きが多いんだよ。家の中を掃除する時も、サスケやシュリと遊ぶときも、やたらとパタパタ走り回ってるだろ? ハイキング中も、色々と気を取られてるみたいで、危なっかしくてしょうがない。見ている方は気が気じゃないよ」
おかしいなあ。
大人になって少しは落ち着いたはず、なんやけどなあ。
***
それは、5月に入ってすぐのこと。
左の人差し指の腹に、ポツリと小さな白い点が現れた。皮膚の下に浮いているようにも見える。
「なんやろ、これ? 脂肪のかたまり?」
不思議に思ったものの、特に痛みもなかったので放置することにした。そのうち自然に消えるだろう、などと思いつつ。
その後も、白い点は私の指の腹に居座り続けた。1ミリほどだったのが少しずつ大きくなり、いつの間にか、触ると痛みを感じるようになった。
「これ、化膿してるんやろなあ。庭掃除中に松ぼっくりのトゲでも刺さったんかなあ?」
なんにせよ、無理やり
「ウオノメ用のテープ、アメリカにもあるから買ってこようか?」
相方は、なぜだか私の指の腹にあるものがウオノメだと信じて疑わない。
「いやいや、これ、絶対にウオノメやないからね。ウオノメってのは、固くなった皮膚の真ん中が真ん丸に白くなるんよ。私の指の腹、柔らかいまんまやし」
それ以前に、ウオノメって手の指にもできるのか、という素朴な疑問もある。
職場の服装規定でパンプス着用が義務付けられている女性ならご存じだろうが、毎日ヒールのある靴で歩き回っていると、足指や足裏のウオノメに悩まされることもある。日本が誇る粘着テープメーカー『ニチバン』が2019年度に行った『女性の足裏事情調査』によれば、働く女性の約8割が、足裏の皮膚がコンクリートのようにカチカチに硬くなったり厚くなってしまう「コンクリート・フット」だそうな。さらに、その半数以上がウオノメやタコに悩まされた経験があるのだとか。
日本で働いていた頃の私の足裏も、驚くほどカチカチでウオノメだらけだった。なので、ウオノメかそうじゃないかくらい、パッと見ただけで分かる。
ちなみに、魚好きな国民の多い日本で「魚の目」と呼ぶソレは、英語では「corn」。トウモロコシが主食のひとつである英語圏だけのことはある。が、綴りも発音もトウモロコシの「コーン」と全く同じなので、とってもややこしい。
しいて言えば、トウモロコシは単語の前に数字を付けて数えることが出来ない『不可算名詞』だが、ウオノメは「1つ、2つ」と数えられる『可算名詞』だ。なので、「I got a corn on my right foot!」と彼女に言われたら、間違っても「へ? トウモロコシを足で踏んじゃったって?」などと怪訝な顔をしてはいけない。この場合、『A corn』となっているので可算名詞だ。「右足の裏にウオノメができちゃったのお!」と悩みを打ち明けた乙女心を踏みにじるなかれ。
バージニア州で暮らし始めて数年。あれほど悩まされた足裏のウオノメが、きれいさっぱり姿を消した。
いつでもどこでもオシャレでこぎれいな日本人と比べて、アメリカ南部州の人々はビックリするほどカジュアル思考。年がら年中、ビーチサンダルで過ごすツワモノも少なくない。そんな彼らを真似て、日頃からぺたんこ靴でぺたぺたと歩き回るようになった。それが功を奏したらしい。
現在、私の足裏はかつてないほどの柔らかさ。おまけに、ツルツルぴかぴか。スゴイぞ、ぺたんこ靴。日本のオフィスでも堂々とぺたんこ靴が履けるようになれば、多くのヤマトナデシコの足裏が救われるはず。がんばれ、ぺたんこ靴。
さて、5月下旬。相方の溜りに溜まった有給休暇を消化すべく、1週間のドライブ旅行に出掛けることになった。
パンデミック中なので、「行動範囲は大自然の中限定」「宿泊先は、バケーションレンタルの一軒家(=家族以外との接触を避けるため&愛犬も一緒に連れて行けるから)」という条件で旅行プランを考えた。結果、バージニア州西端からケンタッキー州にまたがるアパラチア山脈(Appalachian Mountains)周辺で、ほぼ毎日、人里離れた山奥のトレイルを歩き回り、雄大な景色を堪能し、森林浴を楽しむ「ハイキング三昧の1週間」となった。
冒険好きの相方が好んで選ぶルートは、トレッキングポールが全く役に立たないほど険しい岩場だらけ。おかげで、傾斜面を昇ったり降りたりする度に、身体を支えるためにゴツゴツの岩に手をついたり、木の幹や枝をがっしと掴んだり……そんなことを毎日しているうちに、右手の親指を、ぐきっ、と痛めてしまった。
左手の指の白い点はと言えば、もはや「点」とは呼べない大きさに成長を遂げていた。直径5ミリを越える豆粒大の白いモノが居座る指先は、ちょっと触れただけで顔が歪むほどの痛みが走る。
応急処置のテーピングを施した右手の親指と、左の人差し指の白いモノを交互に眺めながら、「これ、絶対マズイやんなあ」と頭の片隅で思いつつも、人里離れた山奥に滞在している間は如何ともし難く……
ちなみに、宿泊先から最寄りの医療施設までは、舗装されていないトレイルを下って車で片道約1時間。個人経営の小さなクリニックだそうで、パンデミック下では新規受け入れを拒否される可能性も否めない。
「しゃあない。ちょっと我慢すればええことやん」
そう自分に言い聞かせた。
帰宅して数日後。
左の人差し指の腹がぷっくりと
おかげで、「日常の些細な動作でも、利き手の親指と左の人差し指ってむちゃくちゃ必要やん! 使えへんとむちゃくちゃツライやん!」と思い知らされた。
具体例をあげてみよう。
【ムダ毛が抜けなくてツライ】
眉を整えようとしても、指が痛くて毛抜きが握れない。
「そこですか?」と言うなかれ。ムダ毛処理先進国(とはいえ、主に下半身の方だけどね……)のアメリカで、日本人の真っ黒なムダ毛はただでさえ目立つ。由々しき事態だ。
【下半身の脱ぎ着がツライ】
ジーンズやパンツ、下着を身に着けようとして、両手の指をウエスト部分に引っ掛けて引っ張り上げる度に、あまりの痛さに「ひいいいっ!」と悲鳴を上げる。
自宅では丈の長いTシャツ1枚で過ごせば良いが、さすがに外出時はそういうワケにもいかんでしょ……と恥じらうヤマトナデシコ。相方曰く、「アメリカ人は、他人がどんな格好をしていようが気にしないけどね」
【食事の支度がツライ】
一番困ったのが、食事の支度。利き手の親指をケガすると、包丁が握れない。かと言って、左手で刃物を握るのは危険すぎるので、毎日、相方の手を借りるハメになった。
これについては、「ワイフが僕の助けを必要としているんだ!」と張り切った相方が、仕事を早々に切り上げて帰宅するようになった、というオマケがつく。
さすがに、日常生活に差し障りがあるまま放置するワケにもいかないので、かかりつけ医(Primary Care Physician)に予約の電話を入れた。
『手指の違和感、ということですね? 予約可能な日時をお調べします……2週間後の金曜日が空いていますね。希望する予約時刻はありますか?』
……は? 2週間後?
いやいや、そんなに待てへんし。
「あのお、ここ数日のうちに診てもらうのってムリですか? 左手の方は化膿しているみたいやし、右手も動かすとかなり痛むんですけど、どうしてもムリですか?」
と、ゴネてみた。が……
『緊急の場合はエマージェンシー・ルームに行って下さい。今、予約されますか? どうしますか?』
と、あっさり却下。
仕方なく2週間先の予約を押さえたものの、痛いものはやっぱり痛い。電話を切った後、キッチンの壁に掛けてあるカレンダーに予約日時のメモを書き込もうとしたが、テーピングでがっちり固めた親指でペンを握れるワケもなく……
「アカンわ、これ。2週間も待ってられへん」
かくして、笑うに笑えない状況に陥った私がアージェント・ケアに駆け込んだのは、6月1日のお昼をちょっと過ぎた頃だった。
***
パンデミック以降、お世話になりっぱなしのアージェント・ケア。医療施設の利用が制限されているため、かかりつけ医との予約がなかなか取れない中、本当に助かっている。
今回の担当医は、アジア系アメリカ人男性だった。
白人と黒人が圧倒的多数の南部州に住んでいると、アジア系の医師に当たる確率は限りなく少ない。東洋的思想や食習慣なんぞ全く理解してもらえない異世界バージニアで、アジア系医師の存在はとっても貴重。たとえアメリカ生まれのアメリカ育ちであろうと、同じアジア系というだけで安堵感が全く違う。少なくとも、彼らは「理解しよう」としてくれるから。
こういう感覚は、在米日本人が多い地域で暮らしていれば、感じることもないんだろうけれど。
「うわあ、これ、どうしたの?」
左の人差し指を診ていたドクターが、ニコニコ笑顔のまま声を上げた。
どうしたの、と言われても、どうしてこうなったのか分からない本人としては、答えようがない。
「1ヶ月ほど前から白い点があるのには気付いていたんですけど……痛みがなかったので放置しておいたら、こんなになっちゃいました」
「なるほどねえ。これ、刺し傷だよ。針か何かで刺した覚え、ある?」
言われてみれば、パンデミックをきっかけに始めた趣味のクロスステッチをしている時に、指の腹を針で何度か突いた覚えがある。
クロスステッチ用の針は先が丸まっているので、ちょっとやそっとでは皮膚を傷つけることはない。もちろん、力を入れ過ぎれば、ぶさりと突き刺さることもあるが、ちょこっと血がにじむくらい。なので、ややこしい図案と格闘しながらステッチを刺している時などは、消毒もせず放置することも多く……その結果が、これとは。
「これからは、小さな傷でもちゃんと消毒しよう」と心から反省した。
「皮下に細菌が入って化膿しちゃったんだねえ。その針、サビてなかった?」
針がサビてるかどうかなど、いちいち確認して裁縫する人なんて
「ところで、キミ、Tetanustワクチンを接種したことはある?」
……はい?
テッ……なんですと?
「あのお、それって何のワクチンですか? 私、日本人なので、英語の医学用語はちょっと難しくて」
「ああ、そうなんだ。Tetanustってのは、例えば
そこまで聞いて、「あ、破傷風のことか」とピンときた。が、これまでの人生で自分がどんな予防接種を受けてきたかなんて、ハッキリと覚えちゃいない。
アメリカに移住する際、米国移民法で義務付けられているワクチンの接種証明を出す必要があった。母子手帳に記載されている予防接種歴を全て英訳した上で、未接種のワクチンはアメリカ大使館指定の病院で接種した。
その時の記録は、世界保健機関(WHO)承認の『International Certificate of Vaccination(=予防接種の国際証明書。通称『Yellow Card』)』に記載されているものの、イエロー・カードは予防接種を受ける時に必要なだけなので、普段は保管ケースの中にしまい込んだままだ。
私は基礎疾患や既往歴はないけれど、食物と薬でアレルギー反応を起こしたことがあるので、原因となったモノは英語でも言えるし、万が一のために英語と日本語で書いたアレルギーのリストをIDと一緒に持ち歩いている。「接種記録もリストを作らなアカンわ」と痛感。
それにしても、自分の接種記録をスラスラと
「ワクチン、打ったかどうか覚えていないなら、今、済ませちゃおうか?」
ニッコリ微笑むドクターを前に、思わずギョッとした。
ワクチンって、そんなに簡単に打っても大丈夫なのか?
「まあ、裁縫に使う針なら問題ないと思うけどね……あ、でも、破傷風ワクチンは機会があれば打っておいた方が良いよ」
私の心の動揺を察したらしく、ドクターがさらりとアドバイス。
その後、「右手の方は軽い突き指だから、しばらく湿布剤を貼っておけば痛みも落ち着くはずだよ」との診断を受けた。
「さて、こっちの指は
私の指先をじーっと診ていたドクターが、ニッコリ笑顔を私に向ける。
「キミの選択肢は2つ。局所麻酔なしで切開するか、麻酔をしてから切開するか……どっちが良い?」
は? 麻酔なしで……?
いやいや、それって絶対、むちゃくちゃ痛いやん!
「……痛いのはニガテなので、麻酔して下さい」
その瞬間、ドクターが妙に嬉しそうにニヤリと笑う。
「実を言うと、その麻酔自体、すごーく痛いんだよね」
……なんですと?
「指先って、身体部位の中で最も感覚点が多くて、とっても敏感なんだよ。だから、腕や身体に麻酔を打つより、ずーっと痛く感じるんだよねえ。それでも良い?」
「いや、あの……でも、麻酔なしで指先を切開するのって」
「うん、そっちもすごーく痛い」
どっちも痛いんやんっ!
「指の中で一番感覚が鋭いのは、利き手の人差し指なんだけど……キミは左利き?」
「いや、右利きです」
「良かった! 左の人差し指だから、痛みはちょっとはマシなはずだよ」
いやいや、全然良くないやんっ!
あの細く鋭い針が身体に突き刺さる瞬間を想像するだけで
「じゃあ、まずは麻酔をしよう。どれだけ痛くても、30秒間だけ、絶対に指を引っ込めたり動かしたりしちゃダメだよ。好きなだけ『痛いーっ!』って叫んで良いから、絶対に動かないでね」
看護師さんが私の指を丹念に洗い、切開に必要な準備をしている間も、ドクターは始終笑顔のまま説明を続けている。
「切開するところ、見たい?」
ぶるぶるっと大きく身震いして、「
「あははっ、了解。大丈夫だよ、落ち着いてね」
おそらく、緊張してガチガチな私を落ち着かせようとして、ドクターは笑顔を絶やさなかったのだと思う。この時の私は、『指の腹をナイフで切る』という事実と、麻酔が切れた後に襲い来るであろう痛みへの恐怖で、ドクターの心遣いに気付く余裕もなく……
「座ったままより、ベッドに寝転んだほうがリラックスできるかもね。ところで、麻酔を打つのは見たい?」
ドクターに言われるがまま横になった途端、オソロシイ質問をされて、ぶるぶると首を激しく横に振る。私の緊張を解きほぐそうとして軽口を叩くのか、はたまた、単に私の反応が面白いから
「じゃあ、ゆっくり大きく息を吸ってー、ゆっくり吐いてー。左腕、力を抜いてねー、絶対に動かしちゃダメだよー」
そう言いながら、ドクターがガッシと私の左手首を掴むのを感じた。その途端――
「ぐひいいいいいいいいっ! あ痛たたたたたたっ痛い痛い痛いいいいいっ!」
……と、思わず日本語で悲鳴を上げてしまった。
両肩の痛みを抑えるためのステロイド注射が、自分史上一番痛い……そう思っていた。が、そんなものとは比べものにならないほど、超絶痛い!
あまりの痛さに、子供のように両足をバタバタと動かしてもがく私(お恥ずかしい……)をよそに、ドクターは「あと10秒、我慢して! 動かないで!」と言いながら、私の左手を掴んで離さない。それはもう、ギッチリと。
今思えば、あんなにもスリムなドクターのどこに、ジタバタする関西人を押さえ付けるだけの力があったのか、不思議でしょうがない。
その後も、ワケの分からない悲鳴を上げ続けた結果──
『とっても敏感な指先の局所麻酔は、とんでもなく痛い』と判明。
冗談抜きで、信じられないほど、耐え難いほど、大阪弁で言うところの「アホほど」痛かった。
「またまたあ、由海ってば、大ゲサなんだから」
そう思われても仕方ないが、この痛み、実際に体験しないことにはご理解頂けないかと。
何はともあれ、切開後、指の腹の膿を絞り出して、治療完了。
「麻酔が切れた後、痛みが酷くなる前に飲んでね」と処方してもらった痛み止めの薬をその場で受け取ると、最後までニコニコ笑顔だったドクターにお礼を言って、帰宅の途に就いた。
ちなみに、 医薬分業が徹底しているアメリカでは、医師は処方箋を書くだけなので、患者は診療後にドラッグストアなどに併設されている薬局に赴いて処方箋を提出し、薬を購入する必要がある。ほとんどのことがオンラインで可能な昨今、『患者が希望する薬局に在庫確認をした上で、医師が処方箋をオンラインで提出。数時間の準備時間を経て、患者が薬局窓口で処方薬を受け取る』というシステムが主流となりつつある。
アージェント・ケアの場合、在庫があれば、医師が処方した薬をその場で受け取ることも可能だ。ただし、今までの経験から言えば、ドラッグストアの方が断然安い。まあ、その辺りは「早急に薬が必要」なのか、「お値段お得なら、少しくらい待っても構わない」なのか、状況によって臨機応変に対処すれば良いワケで。
今回は、麻酔が切れる前に自宅に戻りたかったので、治療後、その場で処方薬を受け取って帰宅した。
『とっても敏感な指先を切開した後、麻酔が切れると、ドクドクと脈打つような強烈な痛みに延々と身悶えすることになる』と身を以って学ぶことになるのは、それから数時間後のこと。
気をつけよう 甘い言葉と 指先の傷
***
6月末になると、左の人差し指の腹はツルツルの新しい皮膚できれいに覆われ、右手の親指もすっかり自由に動かせるようになった。
「そろそろ、ワクチン接種記録のリストを作ろうか」と、イエロー・カードを引っぱり出した。
イエロー・カードは『予防接種の国際証明書』だけに、接種記録は全て英語で記入されている。面倒臭いなあ、と思いつつも自分のためなので、辞書とオンラインの情報を見比べつつ、「これは、B型肝炎ワクチン。こっちは……」と日本語と英語でメモを取る。
アメリカ移住前に接種したワクチンは『Tdap Adacel』。「Tdap とは」と打ち込んでパソコン画面に現れた検索結果は……
『成人用のジフテリア・百日咳・破傷風3種混合ワクチン』
破傷風ワクチン、打ってるんやん、私。
アージェント・ケアで簡単に打たなくて、良かったね、私。
これからは接種記録を空で言えるようにがんばろう、と本気で思った。
***
玄関ドアを開けた途端に、物凄い勢いで駆け出した愛猫シュリを捕まえようとしてバランスを崩し、派手に転倒した私が、相方に抱えられて再びアージェント・ケアを訪れたのは、8月初めのこと。
右足首と左手首を捻挫し、お尻から腰に掛けて大きな青アザができた。
「キミって本当によくケガする子だね」と相方に呆れられ、「私が落ち着こうとしても、愛猫が落ち着いてくれない」と理解した。
ついでに、「足を捻挫すると、ゆっくり歩くのもツライので、買い物も遠出もできない。愛猫の朝の運動会に付き合うのも、愛犬との散歩もムリ。筋トレなんて言語道断。足もそうだが、左手もズキズキ痛むので、することが限られる。ゆえに、むちゃくちゃヒマ」と理解した。
夏が、ゆっくりと過ぎていく。
(2021年8月21日 公開)
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