A Peace of Cloud
ベランダに立って、外を眺める。
赤い夕日が斜め向かいのマンションに差し掛かる。
今日も一日僕はがんばれただろうか。
誰かの役に立てただろうか。
誰かの支えになれただろうか。
タバコの煙の流れていく先をたどれば
A Peace of Cloud
小さな雲が大きな雲を追いかけていた。
いつか、その大きな雲に辿り着いて、一緒になって、大きな雲になれることを願って。
自分が消えてなくなってしまう前に、辿り着きたい。
君は僕に、「大丈夫そばにいるよ」と言ってくれたけど、気持ちはずっとどこか遠くに行っているってこと、分かってる。
君の優しさが消えてなくなってしまう前に、僕は君に辿り着きたい。
たとえそれで、本当の自分が消えてなくなっても。
小さな雲は大きな雲を追いかける。
一緒になりたいと願うたびに、どうしてこんなに体は余計にバラバラになるのだろう。
君を抱きしめるたびに感じた孤独を、これも君を愛した証だと数え集めた。
君の悲しみがこぼれ落ちてしまう前に、僕は君に辿り着きたい。
たとえそれで、僕の心が崩れ落ちてしまうとしても。
手を伸ばせば、掴めそうなのに。
手のひらを広げるとそこには空っぽの君の笑顔があった。
僕と君は同じ
A Peace of Cloud
届きはしないだろう。
分かっているんだ。
本当は。
それでも僕は、君と一緒にいられる今日この日を抱きしめる。
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