第6話 授業初日の放課後に
授業が始まった初日の感想。
授業が、長い。
これは比喩でも感覚的なものでも無く単なる事実である。
高専の授業は90分単位。
しかも進みがかなり早い。
まだ授業が本格的にはじまっていないのが救いだ。
そんな長い授業もやっと4限の物理Ⅰ、つまり今の授業で今日は終わり。
「今日はどうする。どこか研究会でも見物に行くか?」
緑山が誘ってくる。
ちなみに奴の席は俺の1つ前だ。
ことごとくかぶるのはまあ名前順なのでしょうが無い。
「どこか面白そうな研究会、あったか?」
「うーん、ものつくり系は地味だしな。かと言ってこちとらたいした魔法も使えないし」
「僕なんか魔法全然使えないしな。緑山の方がまだましだぜ」
魔法工学科のうちのクラスで魔法を少しでも使えるのは半分位。
留学生や国外出身の12人は全員そこそこ魔法が使えるらしいが、日本人で使えるのは6人程。
しかもその6人中5人は緑山を含めて地味な魔法がやっとって処。
術式学園出身の金井さんだけは強力な火炎魔法を持っているらしいけれど。
ちなみに魔法工学科B組は総勢36名でうち
○ 魔法を使えない日本人男子12人
○ 魔法を使えない日本人女子 6人
○ 魔法を使える日本人男子 4人
○ 魔法を使える日本人女子 2人
○ 魔法を使える国外出身男子10人
○ 魔法を使える国外出身女子 2人
という感じだ。
なので授業中も解説の日本語がわかりにくければ英語等で質問するし、教官も英語くらいならだいたいその場で英語で応じてくれる。
ドイツ語フランス語あたりでも学生を介して3人位でやりとりすれば何とかなる。
国際色豊かというか、まあある意味カルチャーショックだ。
どうもこの島は特区のせいかそれが普通という感じなのだが。
さて放課後だが、ここは掃除とか学級活動とかは無い。
なので帰るかそのままダベリングかになる。
「物作り系の研究会だと何処がいいかな?」
山崎がそういいながらやってきた。
他に能ヶ谷も加わり、どこの研究会にしようかという話になる。
「順当にいけば第1工作室の創造制作研究会か、第2工作室の魔法機械研究会だな。第1実習室の自動機械愛好会は昨日行ってみたがなんか怪しいオーラが出ていた」
「ああ、あの女性アンドロイドフェチか。あれは引いたな、流石に」
自動機械愛好会は昨日のオリエンテーションでとんでもないものを展示していた。
ベッドの上に安置された、伝説の先輩の作品という精巧なアンドロイド。
会話を始めベッドの上で行われる全ての行為をAIをフル活用して自動動作行動可能。
要は超高性能AI入り全自動ダッチワイフである。
疲れた夜のベッドでの会話からいろは四十八手までの機能付きだそうだ。
オプションで色々な特殊な趣味にも対応との事。
さすがにこれは僕も引いた。
なんというものを作っているのだここは。
人に見間違う程に精巧だし会話も試したところ普通の日常会話をちゃんとこなせていただけに強烈な衝撃だった。
というか実際に彼女?を相手に誰か行為に及んだのだろうか?
その辺を思い切り問いただしたい!
さて。
研究会の一覧表を見てみるが、やっぱり昨日行った刀の製作の会は見当たらない。
でもやっぱり気になる、正直言って。
先輩2人が美人だとか可愛いとかは別としてもだ。
あれだったらきっと彼氏とかいるだろうしな。
それより昨日包丁を作った時のあの充実感がなんと言うか、たまらなくいい感じだったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます