第九十六話 ドラマがある

「単純作業に見える草むしりにも、ドラマがあるよね!」

「そう? くっそつまんないだけだと思うけど」


「草をむしろうとした手と手が触れて、そこから恋が……」

「うち、女子校だよ。まあ、そういう恋があってもいいけどさ」


「草をむしり続けようとしたら喀血して、最期の一言を……」

「具合悪いならさっさと保健室行けよー。うっとうしい」


「ちぇ。あんたには、ドラマなんか何も起きなさそうだね」

「ええー? 真っ最中だよ。うっかりスズメバチの巣に手ぇ突っ込んじゃったから」



【おしまい】

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